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相模英二幻想事件簿
File.2 「見えない古文書」
V 6.7.PM12:34
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…?」
 私はそう呟いて部屋を出、扉を閉めた時だった。再び人の走る音が聞こえてきた。私はギョッとして辺りを見回したが…何か変なのだ…。本来、足音とは床から響くものなのだが…それが天井から聞こえてくるように感じたのだ。
 この館は二階建てで、この上は屋根だ…。当然、上から足音が聞こえてくるなんて有り得ない。
 私はゾッとしながらも天井を見上げると、そのまま体を強張らせて立ち尽くした…。
 そこには…あるはずの無いものがあったからだ…。

- おじちゃん…遊ぼうよ…。 -

 そこには…幼い子供が天井から逆さに立ち、ニタリと笑みを溢しながらこちらを見ていたのだ…。
「う…っ!!」
 身の毛もよだつ…とは、正にこういうことなんだろう…。その子供はえらく痩せていて、目のある位置には、ポッカリと黒い二つの穴が空いていた。それは…骸骨のようにも見てとれた…。
 私はそのまま目を反らすことさえ出来ず、ただ呆然と立ち尽くしていた。目の前にある現象を理解しようとしてはみたが、とてもそんな余裕などなかった。そいつが少しずつ近付いて来たからだ。
 だが暫くすると、そいつは悲鳴と共に消え去ったのだった。
「な…何だったんだ…今のは…。」
 私は呼吸を整えながらそう呟いたが、ハッと我に帰って悲鳴の聞こえた方へ走った。あの声は…間違いなく七海さんだ。
 また「何か」を見たのだろうか?いや…疑問の余地は無いだろう。私にさえ、あれだけはっきりとした形で現れたんだからな…。
 機材を利用して写し出した…とも考えてはみたが、この明るさであの立体感…有り得ないことだ。だとすれば、あれは“本物"ということになる…。
「七海さん!」
 私が部屋へと入ると、七海さんはベッドの上で真っ青になって震えていた。それと同時に、私は別なものも視界の中に捉えたのだった。
「…なんだ…これは…!?」
 恐らく…先日、七海さんが窓から見えたというものの正体…。
 だが、それは老婆とはとても言えない代物だった。例えて言うなれば…「ゾンビ」と表現出来るかも知れない…。
 片方の目はズルリと抜けて垂れ下がり、皮膚は腐って所々に骨が見えている有り様だ。髪も大半が抜け落ちてはいたが、その長い髪は、これが女性であることを…いや、あったことを物語っていた。服は洋服…のようなものを着ているようだが、それさえ色褪せてぼろ切れ状態で、元が何だったのかさえ分からない程だった…。

- お前達が奪ったものを…今度は私が奪ってやる…。 -

 地面から沸き上がるような恐ろしい声で、その化け物は言った。いや…頭に直接響いた、と言った方が的確かも知れない。
 私の背中には再び…あの嫌な汗が流れた。今の今まで、こんな化け物を見たことなかったからな…。
「どうした!大丈夫か!?」
 そんな状況
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