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相模英二幻想事件簿
File.2 「見えない古文書」
序奏 6.5.PM2:03
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に従って中へと入ると、そこには別世界が広がっていた…。高い天井からは大きなシャンデリアが下がり、中央には広い階段…海外で見る、いわゆる豪邸だ。それもヨーロッパ風…。何だってこんな山奥に、こんな館を建てたんだか…。
「私は柳瀬と申します。相模様のお世話をするよう申し使っております。奥様は暫くしましたらお会いになられるそうですので、先にお部屋へとご案内させて頂きます。お荷物をお持ち致します。」
 彼女…いや、柳瀬さんがそう言って私の荷物を持とうとした時、私は「自分で持ちますから。」と言うと、柳瀬さんはこう返してきた。
「いいえ。私は奥様より相模様を丁重にお迎えするよう申し使っております。荷物を運ぶのも仕事ですので、お気遣いは無用ですので。」
 そう言うや一瞬の隙をついて荷物持ち、「さ、ご案内致します。」とにこやかに案内されることとなったのだった。
 私が案内されたのは、館の二階の東側の部屋だった。
「失礼ですが…ここへ泊まれと?」
「申し訳御座いません。お気に召しませんでしたか?」
 柳瀬さんが真顔で聞いてきた…。私はそう言う意味で聞いた訳じゃないのだが…ただ、用意された部屋が、私の部屋の六倍はあろうかというだけで…。
「柳瀬さん…ここ、部屋と言うより…広間ですよね?」
「はぁ…そうでしょうか?お屋敷の客室は、全てこの大きさですが…。」
 金持ちなんて嫌いだ…。何だかゴテゴテした装飾もあちこちにあるし、飾り机に置いてある壺なんて…きっと目が飛び出る程の金額なんだ…。こんな部屋、とても恐ろしくて眠れやしないだろう。
「柳瀬、どうしましたか?お客様に何か不都合でもありましたか?」
 私がもう少し小さな部屋はないかと聞いている最中、背後から女性の声が聞こえた。見ると、ドアから中年の女性が顔を覗かせていたのだった。
「奥様、申し訳御座いません。相模様は、もう少し小さな部屋が良いと仰っておられるのですが…。」
 目の前の女性が…どうやらこの館の女主人、如月夫人みたいだな。と言うことは、私にとっては依頼主になるわけか…。
「あらぁ…困りましたねぇ…。」
 何と言うか、女主人と言うよりはのんびり屋のおばさんと言った感じだなぁ…。服はそう派手じゃく、かといって目立たない程に地味でもない。品がある…と言えば良いのか?だが、そんな服と喋り方が、どことなくミスマッチだ…。
「あ、部屋を半分に仕切ってしまえば良いじゃない!」
 いや…思考も何か変だな…。柳瀬さんは如月夫人の提案を答えとばかりに、「奥様、それが宜しいですわ。」と、何とも無責任な返答をしているし…。この館の中に、まともに話せる人はいるのだろうか?私は一抹の不安を感じつつも、仕方なく「この部屋で構いませんので…。」と、力なく言うしかなかった。
 だが…まさかこんな暢気人達が住まう場所で
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