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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
第百三五幕 「クラッシュ・パフォーマンス」
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てるんだ?ずるいなぁ、候補生でもないのに、さぁッ!!」

 発砲音を認識するより早く、なるだけ高度を取りながら回避行動をとる。

(………何の躊躇いもなく本気で発砲してきた。私に優しくしてくれたあの姿は全部演技かぁ、これキッツイ……)

 人に軽い嘘をつかれるぐらいはあるが、完全に此方を騙すつもりで接してきたというのは結構心にクるものがある。これで相手がオータムさんとかスコールさんだと「知ってた☆」とか言って豪快にイジれるのだけれど、これが世界と対峙するという事なのか。ちょっと人間不信に陥りそうだよ。

 しかし、今の何気ない言葉を佐藤さんイヤーは聞き逃さなかった。

(私がIS持ってる事を知らなかった……?っつーことは、私を襲うのは計画通りだけど、臨海学校で仕掛けてきた人たちとは別口ってことかな?とすると、向こうの目算では私がアルキミア持ってるなんて欠片も知らないよね……)

 それは今後札として使えそうだ。思えばこの世界でこっち側が情報アドバンテージ持っているなんて稀有すぎない?
 だが問題もある。ここはイタリア領なのだ。私はベル君護衛の名目でISの使用は許されているが、警告なしの発砲まで行ったルマリーさんは完璧にテロリストだ。今頃早期警戒網に引っ掛かってイタリア軍のIS乗りが現場に急行しているだろう。
 何が問題なのかはっきりしろって?しょうがないなぁ、じゃあ言うよ。

Q.もしもここでIS同士の戦闘が勃発して電磁投射砲や大口径ライフルをぶっ放したらどうなる?
A.(巻き添え被害(コラテラルダメージ)で近隣住民が)死ぬわ。

 そう、間違ってもこの町の中で戦闘などおっぱじめられては困る。今だって敢えてルマリーさんより高度を高く取って飛行することで流れ弾が街に着弾するのを防いでいるのだ。欲しいのは戦闘に必要な場所だ。最低でも海岸、出来ればアドリア海まで出たい。それは後からくるイタリア軍もそうだろう。

 ほかに懸念があるとすれば、イタリア軍に嗅ぎつけられる可能性をルマリーさんが分かっていないとは思えないこと。何か仕掛けられていたら、率直に言ってマズイ。最悪の場合はアルキミアを使う必要も出てくるだろう。

 とにかく飛ぶ。そろそろ海岸に差し掛かる。彼女が私のお尻を追いかけてきてくれれば――と思ったが、やっぱり都合よくいかない。突然ルマリーさんが停止した。訳が分からずこちらもスピードを緩める。

「下、見える?観光客とか地元の人とかわらわらいるの」
「そりゃまあ、ここ観光地だし……」
「反吐が出ると思わない?ゴミ共がさ」

 起伏のない、独り言のような声だった。

「10人死んだんだよ?10人殺したんだよ?それがISが使えるだの美少年だのってなんにも分かってない馬鹿な大人たちが囃し立てて、そんな
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