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ゲーム風スキルは異世界最強なんだよ!・ω・`)ノ
32話「犬さん、ブラッドイーターを誘惑する」
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最短距離で道を移動できるタフな獣人。
スタミナが足りなくて、頻繁に休憩する必要がある精鋭ゴブリン。
周到に準備して『僕の細工スキル』を最大限生かし、新しい武器を製造するという余計な手間暇をかけても、ゴブリンの行き先に回り込むのは容易い事だった。
今、ゴブリン達は――呑気に新鮮な食材を調理している。
ブラッドイーターが黒い愛刀を掲げ、問答無用で労働者ゴブリンを神速の斬撃で切断。

「今日の昼食は!お前にっ!決めたっ!」

瞬時に、バラバラ遺体にされたゴブリンは、熱い鍋へと放り込まれ……うむう……他種族だから、牛や豚と同じ感覚で見れてしまう。
近づきすぎたり、殺気を向けるとブラッドイーターの索敵系スキルに探知されるから、間合いを取りながら観察を続けるのは疲れるものがあるな……。
身体は疲労しないが神経的な意味で辛い。異文化ならぬ、異種族コミュニケーションが難しそうだ。

「良い……名剣アナンダ・ブレード良い……。
肉がよく切れるっ!良いっ!とっても良いっ!」

これぇ……名剣……泣いていると思うぞ……。
一応、ゴブリンの脂が溝に溜まって、剣の切れ味が落ちない仕様になっている特殊な剣だが……肉斬りたいだけなら、分厚い包丁で良いと思う……。

『包丁戦士ブラッドイーター』
『やはり包丁は……ヤンデレ娘が一番似合うお……ゴブリンだと猟奇的すぎて萌えないお……』

早く気づいてくれ、ブラッドイーター。
お前が欲しがる名刀は、すぐそこにある。
地球で失われたロストテクノロジーで作られたダマスカス鋼の――

「くくくっ……!獣人の強者をアナンダたんで切り刻みたい……ん?
こ、これはっ!?ま、まさかっ!」

ようやく、ブラッドイーターは気づいた。
30mほど離れた場所に――鎧すら容易く切断して刃こぼれ一つないという伝説の鋼――

「ををっ!な、なんて切れ味が良さそうなナイフ……!
この刃の美しさは神が作りたもう芸術のごとく!?
良いっ!良いぞっ!これぇ!」

ダマスカス鋼のナイフが落ちている事に、奴は気づいたのだ。

『ナイフな件』
『刀剣コレクターに、ナイフをプレゼントして意味があるんだお……?』

仕方ないじゃないか。
一応、焼き払った集落の炉が残っていたから、ダマスカス鋼を製造できたが……製法が特殊すぎる上に材料がほとんどないから、ナイフを作るので精一杯だったんだぞ?
それに見ろ、ブラッドイーターがナイフを手に取って、刃紋をペロペロと舐めて、近くにある木を切断しているじゃないか。

「ををっ!す、素晴らしいっ……この切れ味に加え、刃こぼれ一つもない!
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