第79話 天草四朗 再び
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「ですが、その噂を逆手にとって西郷暗殺をでっちあげる。そうすれば、どうなりますかね?」
天草は楽しそうに大山に告げた。事実、噂ではなく、政府は動いていた。
西郷暗殺ではなく、薩摩の動向を探らせるためだった。それ程、政府は西郷を警戒していた。
(なんとういう恐ろしい事を考えるのか、この天草という男は)
大山はただただ生唾を飲みこんでいた。が、たしかにその策略ならば、血気多い若者達は、新政府許すまじとなるだろう。
手間でも真実でも関係がない。
士族は武士の命である刀を取り上げられ、領地さえも取り上げられてしまった。
そこに火種を放り込めば、一気に燃え上がるだろう。
佐賀の乱しかり萩の乱しかりだ。が、大山は腕を組み、うなっていた。
「大山殿。私が、その火種を放り込みましょう」
大山の表情を読み降り、天草が不気味な笑みを浮かべて提案をした。
(おの男の笑みだけは苦手だ。じゃっどん、おいが手を汚すことなく、事が成せれば御の字ったい)
「では、天草君。よろしく頼むったい」
大山もにやりと微笑んだ。
「承りました。その変わり、原城の件は、よしなに」
天草は一礼し、大山に背を向けて去っていった。が、その顔には、大山を馬鹿にするように唇の端を釣り上げて笑っていた。
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