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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百四十一話 一波纔に動いて
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分からん、判断材料が少なすぎる……。

「情報が欲しいですね、判断材料が少なすぎます」
『同感じゃの、レムシャイド伯からの続報を待つしかあるまい。明日、いや今日じゃな、朝八時に新無憂宮に来てくれ』
八時か、年寄りは朝が早いな、もう三時だぞ。

「エーレンベルク、シュタインホフ元帥は如何します」
『私の方から連絡を入れておく』
「承知しました」

通信が切れた後、部屋を見渡した。絵画一つない殺風景な部屋だ、冬のオーディンにはお似合いの部屋だろう。どうする、もう三時だ、寝ているかもしれん……、連絡を入れるか……。連絡を入れると直ぐに相手が出た。

『エーリッヒか』
「良かった、起きていたのか、ギュンター」
『卿に連絡を入れるかどうするかで迷っていた』
キスリングが苦笑していた。

「遠慮しなくていい、用が有るときは連絡をくれ」
『ああ、そうするよ』
「フェザーンの件だな」
俺の問いかけにキスリングは頷いた。

『知っているのか』
「オリベイラと第九艦隊司令部がペイワードに拘束された事はリヒテンラーデ侯から聞いた。元はレムシャイド伯だ」
俺はリヒテンラーデ侯との会話の内容をキスリングに伝えた。キスリングは所々で頷いている。

『俺の所にはラートブルフ男爵、シェッツラー子爵、ノルデン少将から連絡が有った』
「役に立っているようだね」
『とてもね。反乱軍や地球教からの接触は無いがフェザーンの状況は分かる。役に立っている、そう思っていたんだがな』

妙な言い方をするな、それにキスリングの口調には自嘲が有る。
「何か有るのかい」
『ラートブルフ男爵が妙な事を言ってきた』
「……」

『オリベイラが拘束された直後、ランズベルク伯と連絡を取ったらしい。その時、伯はこう言ったそうだ。“これでまた帝国への帰還が遅くなる”』
自分の表情が厳しくなるのが分かった。なるほど、そういう事か。

「伯はオリベイラ達と通じていたという事か、男爵はそれを知らなかった……」
『そういう事だな。……ラートブルフ男爵は謝っていたよ、ランズベルク伯を甘く見たと。自分達に相談する事無くそんな事が出来る男だとは思わなかったと』
キスリングが苦い表情をしている。ラートブルフ男爵以上にキスリングの方がショックを受けているようだ。

「成長したのかな?」
キスリングが笑い出した、俺も笑う。
『馬鹿、冗談言っている場合か』
「冗談じゃないさ、成長したのでなければ知恵を付けた人間が居る。捕虜になった連中には気を許すなとね。問題はそいつが誰かだな、オリベイラ達なら良い、そうじゃないなら問題だ」

『ルビンスキーか、地球教か』
「……さて、何者かな。まあ碌でもない奴である事は確かだろうね」
またキスリングが笑った。
『向
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