―太陽―
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「……よし。準備出来たぞ、遊矢」
「ああ」
デュエルアカデミアの一室にて、パソコンのキーボードを目にも止まらぬ速さで叩いていた三沢は、ようやく一息ついてこちらを見た。休憩の時間かと思ったが、作業を終わらせたらしく、タブレット端末でどこかに連絡を取っていた。
「……少し、思う。どうしてあの場所で、お前と対面してるのが俺じゃないんだってな」
「それは……」
「いや、いいんだ。後悔してるわけじゃない」
こちらが何か言おうとするよりも早く、後悔しているかのような言葉を吐いた、当の三沢に止められる。しかも後悔のような――という、こちらの予想までもが否定されて。
「世界を救う舞台でお前との決戦……というのにも憧れるが、これは裏方でも俺にしか出来ないことだからな」
愛おしそうに先程まで酷使していたパソコンを撫でていると、三沢のタブレット端末に新たな連絡が帰ってきた。しかしてその連絡は三沢宛ではあるものの、実質は俺に向けての連絡でもあった。
「それにここの守りも必要だしな。……勝って来いよ、遊矢」
「ついでに、世界も救ってやるさ!」
どこか晴れやかな気分のまま、他愛のない親友との会話を済ませて、部屋の奥に設えられた一角に到着したエレベーターに乗り込むと、この建物の最上階へと向かっていく――つもりだったのだが。そのエレベーターには先客がおり、その彼女が既に最上階へのボタンを押しておいてくれたらしい。
「レイ……?」
「遊矢さ……ううん。遊矢お兄ちゃん、途中まで一緒に行かせてよ」
「……ああ」
どこから忍び込んだやら、そこにいたのは早乙女レイ。変わらぬ笑顔を見せてくれる彼女に、自然と顔を綻ばせながら、俺たちはともにエレベーターに乗り込んだ。
「ねぇ、遊矢さ……お兄ちゃん」
「……言い辛いなら、様でもいいぞ」
「ダメだよ! ボクのけじめなんだから!」
どうしても呼び辛そうにしているレイに苦笑しながら、以前ならば天地がひっくり返っても許さなかったであろう、様付けを許そうとしたものの。それは他ならぬレイの口から否定されてしまう――彼女が言う『けじめ』を、わざわざ詮索することはないが。
「それで、わざわざどうしたんだ?」
「……近くで見届けさせて。ボクには明日香さんみたいに戦う力はないから、明日香さんの代わりに」
「それは……負けられないな」
エレベーターは最上階に向かっていく。俺たちが行おうとしているのは、これまで防御しか出来なかったダークネスへの、こちらからの攻撃だった。
「うん! 負けたら、明日香さんの分まで容赦しないんだから!」
その方法は、三沢によってもたらされた異次元への移動技術。先程、三沢が最終調整を終わらせ
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