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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
62.連ナル鎖
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た。

(もしも黒竜の撃破がフレイヤ様直々の討伐命令で『フレイヤ・ファミリア』総出ならば身命を賭してでも追い詰めるだろうが、それを事実上二人でか。つくづく貴様等は常道を逸れることが好きだな)

 黒竜は、嘗てオラリオ最大にして最強のファミリアであった『ゼウス・ファミリア』と『ヘラ・ファミリア』の精鋭たちを壊滅させた未曾有の大怪物だ。現在最強と目されている『フレイヤ・ファミリア』も、二つのファミリアの壊滅以前は三番目の地位に甘んじていた。

 別にその事実に問題はない。フレイヤはそもそも自身のファミリアが何番かなど眼中になく、己の望みを叶え易い環境であれば何でもいいのだ。無論あの美と贅の女神が清貧な生活など望みはしないだろうが、トップに対する拘りはない。オッタルもまた、オラリオ最強の地位に興味はない。フレイヤの僕として最高である事には少なからず拘りを抱いているだけだ。

 しかし、その拘りを以てしても当時の最大ファミリア二つを壊滅させた怪物に挑むことの意味を理解できない程オッタルは愚昧な男ではない。

 恐らく、黒竜に自分一人で挑めば死ぬだろう。
 『フレイヤ・ファミリア』総出での戦闘であろうと、高確率で壊滅だ。

 黒竜を倒さなければならぬという使命など欠片もないオッタルにとってその事実は重要ではないが、信望者たる自分ではなく戦士としての自分から見れば戦わずして負けていることになる。屈辱ではないが、その強大な力を過小評価することは出来ない。

 故に、手を貸す者がいたことを差し引いても事実上たった二人で黒竜をここまで追い詰めたという事実は、少なからず『二人でフレイヤ・ファミリアに匹敵する』という噂が偽りではないことを証明していた。

 黒竜の眼球を切り裂くと同時に、その眼から火山の大噴火のような凄まじい炎が噴き出し、オッタルは素早いステップでそれを回避して射程圏外へ離脱する。

『グウゥゥゥ、ウゥゥゥゥゥ………!!』
「長き時を経て、三大怪物の一角が堕ちるか……貴様の首を落とす役目、この俺が引き継ぐ」

 血を這いずる黒竜の翼は無残に切り裂かれ、腹部を通ったオーネストの一撃でくの字に折れ曲がった体はまともに動かせる状態ではない。前足と固めの潰れた顔面は未だに怪物の名に相応しい威圧感を放っているが、ここまで追い詰められればあの二人でなくとも撃破は可能だろう。

 横目で見上げた空には、既にぴくりとも動かないアズを背負って風の魔法で下降するアイズと、ドナ・ウォノの二人に掴まれて下降するオーネストの姿。アズはまるで血の通わない死人のようにだらりと全身が虚脱し、オーネストは全身の火傷に加えて粉砕骨折した両腕で既に剣すら握れない。

(あの男ならば剣を口に咥えて戦いかねんが……当人にその気はなしか)

 オーネス
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