62.連ナル鎖
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たのである。
「間に合いましたか……やはりオーネストくんは祝福されている」
「まー多大な犠牲の上に成り立ってる祝福っすけど?」
ミリオン視点では、この無茶に付き合わされた全員の冒険者やそうでない人々の不幸を代償に捧げているとしか思えない逆転劇である。この贅肉大臣は権力を濫用しすぎなのではないだろうか。謝罪会見くらいはするべきだろう。
「ゲロ吐きそうになりながらポーションガブ飲みして魔法酷使させられた皆様方に感謝の言葉はないんすか?」
「オーネストくんが生きて帰ってきたら労いの言葉くらいは考えましょう」
「悪魔だ、ゼッタイ悪魔だこの拳法殺しボディ……」
サラッとどうでもよさげな返答をしたロイマンにドン引きしながらミリオンが本日何本目か分からないスムージーポーションを呷る。このスムージーポーションはフーの友達のメリージアというらしい顔も知らない大天使が開発してくれた、栄養が取れて味も若干マシになったポーションである。
なお、それを持ってきた当のフーは、地べたに崩れ落ちて悔し涙を流している。
「わ、私の防具が……心血を注いでオーネストを守ってくれるようにと叩き上げたガントレットが……こ、粉々に……!!まだ足りないっていうのかオーネストォッ!!私の防具道に安住の地はないんですかシユウの親方ぁぁぁーーーーーッ!!」
「いや、装備品一つをそこまで気にする?」
「するに決まってるだろう!!私の作品は私の子!!親友を守る為に可能な限りの技術を注ぎ込んだ仕事と愛の結晶なんだぞッ!!目の前で使命半ばに散って逝ったあの子たちの無念を気にしない奴なんてそんなの人間じゃねェッ!!邪魔外道の人非人だッ!!!」
「そこまで言い切っちゃうアンタが怖いよッ!!」
緊張の糸が切れてか大分フリーダムな空気になってきているが、ともあれこうしてロイマンの用意した援軍は為ったのであった。
= =
『グギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!?!?』
斬撃でぐらついた黒竜の巨体がダンジョン60層のささくれたった岩盤に叩きつけられ、遅れてその近くにオッタルは着地する。着地の反動が膝を通って全身に突き抜けるが、鍛え抜かれた頑強な肉体はこの程度ではダメージを受けない。
オッタルは、たったいま目の前の黒竜の片眼を切り裂いた事に対して特別な感情は抱いていない。
自分はただ、己の唯一にして絶対の主であるフレイヤの命令を忠実に実行しただけであり、その過程で何を成し遂げたのかは問題ではない。己がフレイヤの意に沿い、その望みを叶えることが出来たかどうか――それだけが行動の価値だ。
だがそれを差し置いても、目の前の怪物をここまで追い込んだ化け物染みた二人には驚嘆を覚え
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