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リリなのinボクらの太陽サーガ
インターバル
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ル支部、執務室。

「やれやれ……俺達、見事にあの子達に一杯食わされたなぁ。普通の酒場の子供だと思ってたら、まさかのトンデモない大物だった訳だからな」

「普通、皇子が身分を隠して酒場で働いてるとか気づけるわけがない。皇子の顔写真とかを見たことがない以上、アーネスト隊長も俺達もわからなくて当然だ」

「自分達はまんまと情報収集に利用されてたってことですか。フェンサリルの人間は魔法が無くても根気強く逆境に耐え、想像をはるかに超えて成長する人類のようですね」

「リスべスが食べた者に感動を与えるほどに料理の腕を上げたように、ロックは身分だけの皇子から相手を的確に見抜く油断のならない皇帝に成長しています。上で行われている会談では今頃、管理局がフェンサリルの掌の上で踊らされているんじゃないでしょうか?」

「クロノ提督はそこまで交渉術が下手ではないとは思いたいが……とにかく俺達は座して待つしかできない。心苦しいが、俺達にできるのはコーヒーを沸かすぐらいのことか」

インスタントコーヒーを淹れるアーネストの冗談に、カイや118部隊の面々は苦笑する。このようにやる事が無い118部隊は、コーヒーを飲みながら愚痴交じりの雑談に興じていた。

「子供の成長は早いというが、親にその姿を見せてやれないのはやはり無念だろう。しかもその原因が管理局にあるのだからなおさらだ」

「今まで局員が店に行くたびに、彼らは心中複雑だったろうな。苛立つ心を抑えて接客しなければならなかったのだから」

「俺もカイも、子供の気持ちに気付くのが本当に遅すぎるなぁ……」

「昔と同じ過ちをしてしまうとは、俺ももう特務捜査官に偉そうなことは言えないか……」

「過ちとはどういうことなんですか、カイ副隊長?」

「アーネスト隊長もってことは、お二人は昔何かあったんですか?」

「そうだな……この状況だし、いっそ話してもいいか。ただね……」

「聞きたいなら聞きたいで、そんな所に隠れてないで素直に出てこい。フェイト特務捜査官、高町なのは嬢」

カイに指摘されて、フェイトとなのはは部屋の影から気まずそうに頬をかきながら姿を現す。アーネストはそんな二人に「ステルスをするつもりなら、あの蜂蜜色の髪の少女ぐらい気配を消せるようにするんだね」と隊長らしく忠告した。

「すみません、皆さん」

「私からも謝ります。ごめんなさい、アーネスト隊長」

「いやいや、別に怒ってはいないよ。部屋に入るタイミングを見計らってたとか、理由はそんな所だろうからね」

「むしろ今はオフ同然だ、気楽にするといい」

肩肘の張っていない返事のおかげで、なのはとフェイトの緊張が解ける。少し緩んだ空気の中、フェイトは自室から持ってきた紙束をアーネストに渡した。


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