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リリなのinボクらの太陽サーガ
インターバル
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何度か抑えられているのだが、それでも会談が長引くほどにその声が復活するのが早くなっていた。

「(これは想像以上にキツイ……! 喧嘩腰の相手の機嫌を伺いながら、何とか和平に持ち込まなければ、最悪戦争が再開されてしまう! でも……かつてラジエルはこんなアウェーな状況から和平締結にまで持ち込んだんだ。上層部の尻拭いのようで少し癪だが、皆の命を預かる僕が尽力しないと! それに……!)」

「次におまえは……『あなた達は忘れていないか! 今は局員達を責めるよりも、やらなくてはならないことがあるはずだ!』……という!」

「あなた達は忘れていないか! 今は局員達を責めるよりも、やらなくてはならないことがあるはずだ! ……ハッ!」

起死回生を狙って怒りの矛先を変えようとした台詞を、ロックが先読みしたことでクロノはつい絶句してしまう。冷たい汗がクロノの頬を伝い、議員達も執務官の上を行ったロックの言動に沸く中、彼は肩をすくめて苦笑した。

「やれやれ……執務官殿もやはり一人の管理局員、根本的な部分は管理世界の人間らしいものに凝り固まっているな。それでは管理局員の価値観などのすべてを把握した、この僕に容易く読まれるぞ。……言っておくが僕はこれから先、誰を寄こしても管理局員なら思考はほぼすべて読める。管理局の言うようなレアスキルとは関係ない、これは解放軍のリーダーとして、次代皇帝として人を見る目を徹底的に鍛え上げた結果だ」

そうして不敵に笑みを浮かべるロックの顔を目の当たりにしたクロノは、テレビ通信の向こうにいる議員ではなく、この若き皇帝こそが会談の主導権を握る最も厄介な人間であると、心の底から強く実感した。時々味方のように振舞いながら、その実こちらの全てを掌握し、誰にも気づかれないまま物事を思い通りに運ぶという、交渉する相手の中では凄まじくやりにくい相手……。

息苦しさを感じながらもクロノが口を開こうとしたその時、いきなりCALL音が響き渡る。

「誰だ? 会談の最中に連絡を入れてくるなんて……」

「あぁ、すまない。アウターヘブン社にあるものを見つけ次第、連絡を送ってもらうように伝えていたんだ。事前に言っておくべきだったな」

軽い謝罪を行い、ロックが通信を繋げる。するとテレビ通信の画面の片隅に通信を送ったアウターヘブン社の者、ディアーチェの顔が映し出された。

『重要な会談に水を差してすまない。しかしこればかりは何より優先して伝えねばならぬことなのだ。……ロック皇子、スカルフェイスの居場所が判明した』

その一言に先ほどまで白熱していた者達も口をつぐみ、クロノは固唾を飲んでディアーチェの報告に集中し、ロックは仲間達へある指示を送っていた。


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管理局フェンサリ
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