贖罪-エクスピエイション-part4/学院の危機
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や教員たちが騒ぐ。が、すぐにメンヌヴィルがメイスを、倒れたオスマンに向けた。
「少し黙っていろ。さもなくば大事な生徒を一人、消し炭にしてやる」
「ぐぬぅ…!!」
口から血反吐を吐きながら、オスマンは生徒の命をたてにされて押し黙るしかなかった。そしてオスマン以外の人質にされた人達も同じようにそうせざるを得なかった。
今度はメンヌヴィルが、外にいるアニエスたちに向けて言い放った。
「いいか、銃士隊とやら。貴様らこそ無駄な抵抗はよすんだな。俺の依頼主の要求は…ウルトラマンの命を差し出し、トリステインに完全敗北を認めさせることだ。
そうだな…特別に少し時間をくれてやる。ウルトラマンをここへ連れてくると誓え!特別に10分で決めろ。10分以内に返答がなければ、10分につき一人ずつ消し炭にする」
「……」
やはり予想したとおり、奴らの方が優位に立っている以上、こちらの要求を呑むはずが無かった。外から聞いていたアニエスは、コルベールの作戦とやらが決行できる機会が奴らの突き出した時間内までに来ることをただ願うしかできなかった。
その頃、シュウとコルベールは急いで彼の研究室に入り、人質救出作戦に必要な道具を探す。
「これか?先生」
すると、シュウがある木箱を見つけ、それをコルベールに見つける。
「ああ。その箱だ。すまない」
「一体この中には何がある?」
どうやらこの箱で正解だったらしいが、その中身についてシュウは説明を求めた。
「私の発明品の一つでね。この紙風船の中に粉を入れて火を浴びせると、照明弾としての効果を出してくれる」
コルベールは箱の中身を確認する。大量の白い粉末状の黄燐が入った袋と、折りたたまれている紙風船がぎっしり詰まっていた。
「スタングレネードということか」
「すたんぐれねえど?それは君の世界の言葉かな?」
「ああ。あなたが説明した通りの道具だ。昔の戦争で敵の視力を一時的に奪う」
「君たちの世界でも戦争はあったのか…」
彼らのやってきたという異世界、それに強い興味があった。コルベールは、サイトたちの世界でもかつて戦争があったことを聞いて心苦しく感じた」
「少なくとも人類同士の戦争はほぼ終結している。俺の知る限りは」
厳密にはサイトとシュウの世界は似て非なる世界観の地球なのだが、そのことを説明するとややこしく時間がかかるのでまだ説明していない。
「そうか、それは羨ましいかぎりだ。この世界はまだ人類同士の争いが絶えていない。貴族は平民を虐げ、平民は貴族に対して畏怖と不満を募らせる。そこに、サイト君たちの言っていた異星人やら怪獣やらが現れ、漬け込んで混乱を巻き起こす。私には辛い光景だ」
苦しげに語るコルベールは、再びシュウの顔を見やる。苦しそうな目だった。この世界の人間の醜さを何度も見続けてきたのだろう。
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