遭災弁当
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上げ、皿にむかい、口に入れ始めた。とたんに一同は感電したかのように体を大きく震わせ、動かなくなった。
「どうだ?卿ら。うまいだろう!!」
ワーレンが一人声を上げたが、他の全員は固まってしまっている。ビッテンフェルトなどは立ち上がった姿勢で皿に口を付けた状態で固まってしまっていた。
「こ、これは・・・・あの、ワーレン提督?」
恐る恐るといった調子でフィオーナが言う。
「これ、あの、その、とっても甘いのですけれど・・・・・。」
その直後、ビッテンフェルトが、飲み込んだカレーを盛大な音を立てて皿に逆噴射しだした。
「うぉぉぉぉ!!!なんだこれは!?これはスイーツか?!スイーツカレーか!?」
盛んにせき込みながら水の入ったコップを一息に飲み干したビッテンフェルトはなおもゲホゲホとせき込んでいる。
「これは・・・卿の家のカレーというのは、こういう味付けなのか。」
ケスラーが微妙な顔をし、ルッツは信じられないという顔をして僚友とカレーを見比べ、メックリンガーは盛んにナプキンで口を拭っている。ティアナに至っては「オエエエエ!」と露骨に顔をしかめて、今にも吐き出しそうなほど顔色を青くしている。その妻をロイエンタールが背中をさすって「大丈夫か?」と声をかけている。キルヒアイスとフィオーナとイルーナは無傷のようだったが、その顔色は普段よりも硬い。アレーナは顔をゆがめて、こんな料理があるのかという信じられないひきつった顔をしていた。
「そ、そんな馬鹿な!!口に合わないというのか!?」
なおもわらをもすがるように周りを見まわすが、一同の顔は一様に「マズイ。」という表情をしている。愕然として頭を抱えるワーレンの頭上に、
「いや、とても美味いぞ。これは。」
という声が振ってきた。
「か、閣下!?」
独りラインハルトが盛んにウマイウマイと言いながらカレーを口に運んでいる。
「ラ、ラインハルト。いったいどうしたというの?」
思わずイルーナがタメ語で話しかけてしまった。
「イルーナ姉上は食べないのですか?まるで姉上の手づくりお菓子と同じだというのに!」
いや、それとこれとはだいぶベクトルが違うだろうという一同の無言の感想に、一人ワーレンだけは感極まった顔をして、
「か、閣下のお口に合うようなカレーを私の愚息より差し上げることができて、このワーレン生涯の幸福と存じ上げます!!」
「ワーレン、近々卿の家に行こう。卿の息子が作ったそのカレー、今度はぜひ作り立てを食べてみたい。そうだろう?卿ら。」
そのとたん、誰しもがラインハルトの味覚を疑い、誰しもがワーレンカレーの存在を呪ったのであった。
「おい、ミッターマイヤー。」
一同がげっそりした顔をして会議室を出ていくのを見計らって、ロイエンタールは声をかけた。
「これはまずいことになるぞ。どう
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