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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第七十四話 捕虜交換式典に行ってきます!
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味わえる店はそう多くはない。」というのが常連客の口癖である。
その常連客の一人であるヤン・ウェンリーは養子のユリアン・ミンツ、アッテンボロー、キャゼルヌ、ジャン・ロベール・ラップ、ジェシカ・エドワーズと共に店の奥の一画のテーブルに陣取ってくつろいだ一時を過ごしていた。だが、目的は食事や雰囲気を楽しむだけではない。その証拠にともすれば会話は止まりがちになり、視線は店の入り口に引き込まれがちになる。
「遅いですね。大将閣下は。」
アッテンボローが時計を見、そして店の入り口を見ながら言う。
「そうイライラしていると、せっかくの料理が冷めるぞ。」
キャゼルヌがアッテンボローをなだめた。
「ですが先輩、もう1時間も来ないってのは何かあったんじゃ――。」
「あ、来ましたよ!」
ユリアンが入り口に顔を向けて、声を上げた。入ってきた面々は、シドニー・シトレ、ダニエル・ブラッドレー、そしてやや時間をおいて、クリスティーネ・フォン・エルク・ウィトゲンシュティン中将、カロリーネ皇女殿下、アルフレートが入ってきたのである。
彼らはそのままヤンたちには目もくれず、奥の個室に歩いて行ってしまった。
「ユリアン、君は先に帰っていなさい。ジェシカ、すまないがユリアンを送って行ってもらえるだろうか。」
「ええ。」
ジェシカはうなずいた。ユリアンは不満そうだったが、すぐにその表情を消した。一般人がこれから始まるであろう軍関係者の機密に係わることはできないとわかっていたからである。
「ヤン提督、あまり遅くならないで帰ってきてくださいね。」
「お前、私の保護者気取りだな。少しは周りに配慮して発言してもらいたいね。お前の言葉を聞いた周りの人間が誤解するじゃないか。」
ヤンがそう言ったので、皆が笑った。キャゼルヌが、
「お前さんの気質については、みんな知っている。心配するな。今更取り繕うとしても遅きに過ぎるからな。」
と、からかう。
「さ、行きましょうか、ユリアン。」
ジェシカが声をかける。ヤンはユリアンにコートを羽織らせた。
「外は寒いだろうから、帰ったらあったかくして寝るんだぞ。」
その声には少年を気遣う気持ちがあふれていた。
「わかっていますよ、提督こそ飲みすぎて風邪をひかないでくださいね。」
「わかっているさ、よし、行こうか。」
ヤンの声に、一同は立ち上がり、ユリアンとジェシカは店の外に、ヤンたちは奥の個室に足を向けたのだった。
奥の個室はくつろいだ一時を誰にも邪魔されずに過ごしたいという人たち向けに用意された部屋であるが、そのうちのいくつかは完全防音となっている。この個室があること自体常連客の中でもわずかな人間しか知らない。それだけ、この部屋の存在がマーチ・ラビットの印象とそぐわないものがあるのだが、利用する人も少なくはなかった
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