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第七十四話 捕虜交換式典に行ってきます!
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「イーリス少将、貴官には少々人命を軽視しうる発言が多いが。」
シトレが言う。
「閣下、艦隊戦で数十万、数百万の将兵が命を落とすことは人命を軽視していないと言えるのでしょうか?」
「彼らは崇高な大義のために犠牲に――。」
と、言いかけた別の一将官が口をつぐんだ。シャロンのいうところの今回の作戦もまた「崇高な大義」の為だったからである。一同は気圧された様に口を閉ざした。もっともシトレやブラッドレーは表面上はいささかも動じてはいなかったが。
「敵を正面から撃破するのは軍人としての本懐でありましょう。ですが、こうしたこともプラスにこそなれ、マイナスの要素にはならないと思いますわ。」
シャロンは最後にそう締めくくったが、芳しい反応はなかった。シャロンとしてもそれを期待していたわけではない。要するに積極的に賛成票をもらう必要はなく、反対票をつぶせば足りるのである。結局のところ、この会議では結論は出ず、先送りとなった。


だが、シャロンは既に準備を進め、幾人かを捕虜交換リストの中に紛れ込ませていたのである。政界、財界、そして各種団体の有力者に彼女の魔手は伸びており、シャロン派と呼ばれる信奉者をすでに獲得し始めていた。前世におけるシャロンの持ち味は圧倒的なカリスマ性であり、その魅力を駆使してあらゆる人材をあらゆる方面から収集することに成功していたのである。


 むろん、シャロンにとってはこれらの人材はすべて「捨駒」なのであった。彼女は組織に属しているものの、その組織に拘束されている、などとはつゆほどにも思っていない。彼女を取り巻く環境は彼女を拘束するものではなく、彼女に利用されるにすぎない道具なのである。


 シトレ、ブラッドレー両大将はこの秘密裏の会議が終わったのち、二人だけで一時間程度話し込んでいた。それが終わると、シトレは早々に仕事をしまい、司令長官公室を副官と共に退出し、ある場所に向かった。ブラッドレー大将も執務室から早々に姿を消してしまう。
 同時に、ウィトゲンシュティン中将もカロリーネ皇女殿下、そしてアルフレートを伴って、早々に退出し、ある場所に向かったのである。



 ハイネセン・ポリスにある三日兎亭「マーチ・ラビット」は、長年ハイネセン市民に愛されてきた台所の一つである。飾り気のないが手作りの込んだ店内の雰囲気は、訪れる人を温かくもてなす。たとえば、初めての人が道を通りすがりにふと、マーチ・ラビットの前で足を止めるとする。かすかに開け放たれた入り口から、心地よいざわめきとおいしそうな匂いが漂い、彼らの足を自然と中に向けてしまうのだ。このレストランの良いところは、初めての客であっても「予約がない。」と突っぱねたりしないところである。
「格調高い高級レストランは数あれど、マーチ・ラビットのような暖かな雰囲気を
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