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世界最年少のプロゲーマーが女性の世界に
24話 日常回その1
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は対極の位置にいます。じゃなきゃあんな戦い方も、あんな顔も出来るはずがない。出来るわけがない」

 楯無、か。無いどころかあの人そのものが盾みたいなものだろうに。いや、どこにも盾が無かったから『自分が盾になるしかなかった』ということかな? これも皮肉かもしれない。

「あれだけの強さを手に入れるためにどれだけの努力を積めばいいのか、それを考えただけでも鳥肌が立ちます。涼しい顔してますけど足の裏は真っ赤ですよきっと」

 だからこそ鬼一は楯無に敬意を払う。強いからこそ、その強さを得るために途方もない努力をしているからこそ、一人の操縦者としても人間としても尊敬する。
 月夜 鬼一にとって年齢によって敬意を払うことはない。そもそも、鬼一は年齢などあってないような世界で生きて育ってきたのだからそれも当然。

 『強さ』に対して一定の敬意を払う。そして、その強さを得るためにどれだけ努力をしているかによって価値が決まる。

「ちなみに天才ってどんな人種だと思います?」

「……なんでも出来る人?」

 間違いではない、と思うが鬼一の考えは少々違っていた。

「天才というのはその分野の究極のリアリストにして、自分の欲求や快感に正直、どこまでも走り続ける人間のことです。そういう意味でたっちゃん先輩は天才と言われる超人なんかじゃない。あの人は底意地は悪いけど、自分の欲求のために動き続けれる人間なんかじゃありません。ただ単純に、人よりも平均値が高いです」

 そういう意味では更識 楯無は間違っても天才などという言葉で濁していい存在ではなかった。自分の欲求や快感に従わず、どこまでも理性的に、どこまでも献身的に自分以外のものを守るために抗っている存在が天才と言えるはずがない。

「……でも、姉さんは1人でISを作った」

「普通に考えて無理でしょうそんなの」

「……!?」

 鬼一は断じる。そんなことが出来るわけがないと。そんなことが出来るのは篠ノ之 束くらいしか鬼一には思いつかない。たかだが人よりも多少平均点が高いだけの人間が、ISを作り上げることは出来ないと考えた。そこまでISはヤワな代物ではない。

「僕の両親はIS開発者の中では有名人だったそうです。その直属の上司にいたっては、一部からは生まれた時代が違えば間違いなく天才に相応しかったそうです」

 その事実が忌々しいことこの上ないが、そのことを喋る必要は何処にもない。

「本職の開発者が、天才と言われるに相応しい人間でも1人でISを作ることは出来なかったのに、先輩が出来るなんて到底思えないです」

 となると、考えられることはただ1つ。

「あの人のことだからまた何か変な意地でも張ったんでしょう。なんの為にそんなことをしたのかまでは知りませんが――
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