暁 〜小説投稿サイト〜
銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百三十五話 辺境星域視察
[4/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
、そして輸出商品の共同開発、さらには領内の統治についても税率、福祉、教育等で協力し合っている。当然といえば当然だろう、領内統治に格差があれば領民達の間で不満が出るのは見えている。

クラインゲルト子爵領は決して豊かとはいえない、しかし領内が安定しているのは統治そのものは領民から見ても妥当だと思われているということだ。という事は他の三人の領地も同じだと見ていい。

「我々は改革には反対していません。むしろ賛成しています」
「今のままでは自分達の力でこれ以上領地を発展させる事は難しいと思っているのです」

ミュンツァー男爵、リューデリッツ伯爵が口々に改革に賛成すると言ってきた。彼らは中央にいた門閥貴族のように領地を搾取の対象とは見ていない。在地領主であり領民との関わりが深い。領地に対して強い愛着を持っているし領地を発展させる事が自分達のためだと理解している。

今でも領内の発展のためにかなりの資金を使っている。領民から信頼を得ている彼らを敵に回すのは得策ではない、むしろ味方に引き入れたほうが辺境星域の統治はスムーズに行くだろう。問題は彼らが何を要求してくるかだろう。

「税を払うのには反対しません、しかし我々の領地の発展にも力を貸して欲しいのです。税を払うだけというのは困ります。それでは我々は貧しくなる一方です」

つまり国の力で領地を発展させてもらったほうが得だと考えているわけか。多くの貴族がそう考えてくれれば今回の内乱は起きなかっただろうな……。
「バルトバッフェル男爵、具体的に政府に何を望んでいるのです?」

俺の言葉に四人は顔を見合わせ、クラインゲルト子爵が話し始めた。
「先ず、医療の充実です。病院、医師、薬局……。辺境に来たがる医師はいません。当然ですが医師がいなければ病院も造りようが無い。辺境星域の住民の平均寿命はオーディンに比べれば遥かに低いのです」

「教育も同様です。どうしてもオーディンに比べれば辺境の教育レベルは落ちる。そのことも辺境星域の発展を妨げています」
「同時に領内の開発もです。特にインフラ関係を御願いしたい。水道、電気、通信……。我々の力ではどうしても限界がある」

ミュンツァー、リューデリッツが口々に要求を出す。一緒についてきた官僚たちの顔が青褪めてきた。金かかるよな、おまけに此処だけじゃないし……。こいつらの顔色が悪くなるのも分かるよ。

「元帥閣下、如何でしょうか?」
クラインゲルト子爵が問いかけて来た。笑みを浮かべてはいるが眼は笑っていない。この爺さん、俺を試すつもりらしい。

「そちらの要求は分かりました。辺境星域の開発と発展は今回の改革でも重要視されている事です。最大限の協力をする様に政府に伝えましょう」
「閣下!」
そう青い顔をするなよ、官僚君。その様子をクライ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ