第四章
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「それで」
「色々していますが」
「精のつくものを食べて毎日励んでいるな」
「はい、そしてアッラーにお願いをしています」
「なら後はだ」
「アラビアンナイトですか」
「それだ」
プラスする要素はというのだ。
「やってみることだ」
「何につけても」
「そうだ、やってみろ」
「旦那様はそれで」
「実はやったことがある」
自分自身の経験もあるとだ、ムワッヒドはハムディに話した。
「二番目の妻には中々子供が生まれなかったな」
「そういえばそうでしたね」
「それであれに読ませてみたのだ」
アラビアンナイトをというのだ。
「あれと床を共にする度にな」
「二番目の奥方様と」
「わしが二十歳の時だった」
十五ではじめて子をもうけてというのだ。
「あの時は愛人もおらず四人の妻だけだったが」
「奥方様とはですか」
「四人の相手を一晩にまとめてしていたがな」
まさに夢の生活だがムワッヒドにとってはこれが普通だ。流石にあの頃とは違い今は一晩に一人多くて二人となっている。
「その時にあれに読ませていたが」
「すると、だったのですね」
「すぐに子供を授かった」
その第二夫人との間にというのだ。
「だからだ、御前もだ」
「ここは、ですね」
「やってみることだ」
「はい、わかりました」
「それではな」
こうしてだった、ハムディは毎晩妻にアラビアンナイトを一話ずつ読ませていくことにした。勿論朗読で彼も聞く。
そうして毎晩夜の仕事をしているとだった。
半年後だ、彼は笑って主に報告出来た。
「昨日産婦人科から言われました」
「そうか」
「はい、妻が妊娠しました」
「それは何よりだ」
「まさか本当にです」
「アラビアンナイトを読むとだな」
「子供を授かるとは思いませんでした」
物語の結末の様にというのだ。
「まことに」
「そうだろうな、わしもだ」
「その時はですか」
「祖父に言われた」
彼のその、というのだ。
「我が家は多産であるがだ」
「若しもの時はですか」
「そうしてみろと言われたのだ」
「アラビアンナイトですか」
「それを読むとだ」
一晩に一話ずつというのだ。
「子供を授かる」
「どうしてでしょうか」
「我が家に代々伝えられている話だが」
「そうなるかという根拠は」
「おそらくだが」
こう前置きしてだ、ムワッヒドはハムディに話した。
「そこまでにも色々してみるな」
「精のつくもの食べたりして」
「毎晩だな」
「はい、努力して」
「アッラーにもお願いしてな」
「そこまで重ねてですか」
「さらにだ」
シャハラザードの様にして、というのだ。
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