第五章
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「実は揚げが入っていまして」
「何っ、揚げ!?」
「揚げですか」
揚げと聞いてだ、中には無意識のうちにだ。
尻尾や耳が出たり鼻の形が変わった者がいた、だがそれは数人で一瞬であった。
しかし和尚はそれを見逃さず内心やはりと思った、だがそれは隠して。
何も知らない顔のままだ、尼僧達に言った。
「般若湯もあります」
「そちらもですか」
「あるのですか」
「一服とのことですが堪能されて下さい」
腹一杯にというのだ。
「是非」
「はい、是非共」
「そうさせて頂きます」
「揚げとは何と馳走が出るものか」
「しかも般若湯もとは」
「いや、これは嬉しや」
「仕事の前に何とよいことがあるのか」
うっかり失言してしまてっている者もいたが気付かない、だが何はともあれ。
その揚げや般若湯が出された、尼僧達は大きな皿に山積みにされた揚げも樽の般若湯即ち酒もであった。
先を争う様に飲み食いしだした、和尚はその彼女達を覗き見つつ善行と知行に言った。
「揚げにも般若湯にも眠り薬を仕込んでおいた」
「どちらにもですか」
「そうされたのですか」
「全く匂いがないものをたっぷりとな」
そうしたというのだ。
「狐は犬の仲間じゃから鼻がいいが」
「そういえば穴に入った時も我等が寺にいるのを見付けた時も」
「匂いでわかったと言っていました」
ここで二人はこのことを思い出した。
「狐は鼻もいいのですか」
「そうだったのですね」
「そうじゃ、さっき言ったが犬の仲間じゃ」
それだけにというのだ。
「鼻がいいのじゃ」
「そうだったのですか」
「狐達は」
「うむ、だからな」
仕込んでおいた眠り薬もというのだ。
「そうしたものじゃ」
「そうですか」
「匂いが全くないものですか」
「そうじゃ」
こう二人に話すのだった。
「だからな」
「それで、ですか」
「その眠り薬を仕込み」
「そして、ですか」
「そのうえで」
「あの者達を眠らせる」
揚げや般若湯に仕込んだ眠り薬によってというのだ。
「わかったな」
「はい、では」
「それからもですね」
「お師匠様がお話された様に」
「ことを進めていきますか」
「そうじゃ」
まさにというのだ。
「ではよいな」
「ではこのまま」
「ことを進めていくのですね」
「そうじゃ、あの者達が全て眠ってからな」
尼僧達を覗き見しつつ言う、そしてだった。
実際にだ、尼僧達は揚げや般若湯を堪能するとだ。
彼女達が案内されてもてないを受けていた広い部屋でそのまま寝入ってしまった、すると和尚は寺の者達に言った。
「ではじゃ」
「はい、これからですな」
「お師匠様のお話通り」
「尼僧達を縛り」
「動けなくしますか」
「見よ、もう
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