第三章
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「これはどうしたものかな」
「何処の寺にいるのか探すって言ってたけれど」
「見付かるかな」
「いや、お寺っていっても多いし」
善行がここで言った。
「そうそう見付かるもおじゃないよ」
「じゃあ大丈夫かな」
知行は善行のその言葉にひょっとしたらという顔になり応えた。
「僕達は」
「そうだよ、顔もはっきりと見られなかった筈だよ」
前行は半ば自分を安心させる為にこう言った。
「それならだよ」
「見付かることはないか」
「そうだよ、安心していいよ」
「それじゃあ」
「うん、このままこのお寺でね」
「普通に暮らしていけばいいね」
「修行してね」
そうしてというのだ。
「何もなかった」
「そういうことにしてだね」
「やっていけばいいよ」
「そう、それじゃあ」
「もうあの山にも穴にも近寄らない」
「そういうことでね」
二人でこう話してだ、実際に二人は何もなかった様に普通に生活をしていった。寺の小僧として。狐の穴に入ったことはふたりだけの秘密だった。
しかしだ、ある日だった。二人が寺の庭を掃除しているとだ。
寺の壁の向こうから話が聞こえてきた、寺の壁は高くそう簡単に乗り越えられるものではなかったが声は聞こえた。
その声は複数でだ、こう話していた。
「あの匂いだな」
「そうだな」
「あの小僧達の匂いだ」
「この寺から匂うな」
「間違いない、あの小僧達はこの寺にいる」
こう話していた、その声が二人に聞こえた。
「この寺の小僧達か」
「よし、居場所がわかったぞ」
「今度この寺に穴の者全員で行くぞ」
「全員で行ってそしてお礼参りだ」
「覚えておれよ」
「言った通り袋叩きにしてくれる」
「容赦はせぬぞ」
「半殺しにしてくれるわ」
こう言っていた、善行と知行はその話を聞いて真っ青になって言葉を失った。そして声が聞こえなくなってからだ。
彼等の間でだ、血相を変えて話をした。
「大変だよ」
「全くだよ」
「とんでもないことになった」
「狐達が僕達の居場所を知ったなんて」
「どうしようか」
「本当にどうしよう」
「穴の狐全員で来るっていうし」
「何とかしないと」
「僕達服r叩きになよ」
「うん、そうならない為にも」
「どうしようか」
「どうしたらいいかな」
二人の間で話すが知恵は出ず。
それでだ、その日はどうしようかわからないで困り果てていると和尚が夕食の後で二人に声をかけてきた。
「御主達どうしたのじゃ」
「あっ、お師匠様」
「それは」
「何かあったな」
すぐにだ、二人に問うた。
「そうじゃな」
「それはその」
「何といいますか」
「安心せよ、叱ることはせぬ」
二人に後ろめたいものがあるのを感じてだ、和尚はこう前置きもした。
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