暁 〜小説投稿サイト〜
提督はBarにいる。
多摩は煮込みで温まる?・その1
[2/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ってその価格は変化する。当然燃費の悪い上に鎮守府の大きな戦力である戦艦や空母は報酬が跳ね上がり、逆に低燃費の軽巡や駆逐艦は低コストでの護衛が見込める。特殊な例としては水上機母艦も護衛任務には人気で、索敵も対潜戦闘も、ある程度の砲雷撃戦までこなせる『何でも屋』な彼女達は引っ張りだこである。ウチの鎮守府でも瑞穂・秋津洲の他に甲標的を運用可能な艤装の千歳・千代田姉妹を3人ずつ確保し、護衛依頼をこなしている状況だ。

……話が大分逸れたな。多摩の話に移ろう。今までの話を統合すると、当然軽巡に護衛依頼の旗艦のお鉢が回ってくる事が多い。駆逐艦を指揮する能力があり、速力も快速で低燃費とくれば、依頼主からすれば必然的な選択だ。その中でも多摩は群を抜いて護衛依頼の旗艦に据えられる事が多い。凄い時には名指しでご指名を受ける事もしばしば。それが何故かと問われれば、軍艦時代の経験豊富さと、俺の鍛え上げた戦闘力を買われての事だろう。

 軽巡『多摩』は戦前、駐日米大使の遺体を本国まで届けたり、戦中には北は千島列島南はラバウルまで縦横無尽に駆けずり回っていた艦である。そんな前世の影響か、日常会話位ならこなせる程度の英会話力と広い海域の知識が備わった艦娘として生まれて来たのだ。そこに俺が直々の戦闘訓練である。普段は姉の球磨と共にペットというかマスコットというか、アニマル的な扱いをされている多摩だが、一度スイッチが入るとその暴れっぷりはアニマル(動物)というより、ビースト(野獣)という表現がしっくり来る位の大暴れを見せる。そんな所を買われてか、多摩は遠征や直接的な海域攻略というよりは、財政的な面で鎮守府を支えているのである。



『まぁ、普段はどう見たって気の抜けた猫丸出しなんだがな……』

 そんな事を考えていると、ジト目の多摩がこちらを睨んでくる。

「むぅ、何だか今とっても失礼な想像をされている気がしたにゃ」

「いや、そんな事はないぞ?……ほれ熱燗が温まったぞ」

 こいつめ、やっぱり野性の勘が働きやがる。やっぱり猫じゃねぇか。俺のそんな想像は露知らず、多摩は熱くなった徳利をおしぼりで包んで傾け、猪口に酒を注いでいる。猪口の淵ギリギリまで注ぎ、くいっと煽る。途端に顔がキュッと歪むが、直ぐにほどけてとろ〜んと蕩けた表情になる。とびきり燗まで燗を付けてしまうと、アンモニア臭いのとキツい口当たりでとても飲めたモンじゃないと思うのだが……

「そんなに美味いか?とびきり燗」

「美味しいにゃ。この鼻にツーンとくる感じと、喉がキュッとなる感覚が堪らんのにゃ」

 まぁ、好みは人それぞれという事か。

「で、つまみはどうする?」

「そうだにゃ……温かい煮込みとかスープがいいにゃ」

 ほら来た。予想がどんぴしゃだ。

「あいよ。直
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ