暁 〜小説投稿サイト〜
提督はBarにいる。
冬はやっぱりおでんだね。
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下茹で。少し芯が残る程度がベストだな。大根の下茹では大根を柔らかくして味が染み込みやすくするのと共に、下茹でしておかないとせっかくのおでんつゆが大根臭くなってしまう。蒟蒻は厚みを半分にして、表面に味が染みやすくなるように格子状の隠し包丁を入れてから下茹で。……よく『蒟蒻って下茹で要るの?』と聞かれるが、美味い蒟蒻が食いたいなら必要だ、と答えておく。

 蒟蒻はご存知の通り、蒟蒻いもという特殊な芋を固めて作られている。その時に凝固剤として加えられる水酸化カルシウムが(昔は灰だった)蒟蒻の中に残っているし、加工の時の水分が中に閉じ込められている。こいつが曲者で、蒟蒻独特の生臭さ等の原因になっている。だからこそ灰汁抜きの意味も込めて下茹でするのさ。まぁ、下茹ですると味も染み込みやすくなるしな。灰汁抜きには他にも塩揉みするか、電子レンジでチンする、という方法がある。ただし、電子レンジだと加熱しすぎて蒟蒻が爆発、なんて笑えない事が起きる可能性がある。注意しよう。

 お次はがんもどきと厚揚げ、巾着用の油揚げも下茹で。余分に吸ってる揚げ油を抜く為にな。……おっと、ゆで卵も作っとかねぇとな。それにじゃがいもも蒸かすか電子レンジでチンして、と。

 油抜きが終わった油揚げで、巾着3種も作っておこう。油揚げを半分に切り、中央から裂いて袋状にし、餅巾着は切り餅を小さくカットして7割程に余裕を持たせて中身に詰め、口を干瓢で縛る。五目巾着は鶏挽き肉か豚挽き肉に人参、椎茸、長ネギ、生姜、ゴボウ等をみじん切りにして練り込み、油揚げに詰める。月見巾着は油揚げの中に生卵を落とすのだが、油揚げから白身が染み出してしまうので、入れる寸前に詰めてそのまま鍋に放り込む。



 さて、具材の下拵えが終わったら煮込んでいく訳だが、煮る順番というのにも気を遣う必要がある。長時間煮込んで美味しい具材と美味しくない具材が存在するのだ。個人的な分析による物だが、味の染み込みにくい具材から煮込んでいき、魚肉の練り物は食べる20分くらい前が投入のベストタイミングだと思う。練り物は煮過ぎると折角の魚介の旨味がつゆに溶け出し過ぎて、スカスカな味になってしまう。しかしその旨味が大根などに染み渡り、美味しくしてくれるのもまた事実。このジレンマを解消する方法も実はある。

 俺は弱火で温め直しているおでんつゆの中に、冷凍庫から取り出した茶色い氷を鍋の中に放り込んだ。こいつが秘密兵器で、その正体は前回作ったおでんつゆの残りだ。こいつには練り物の旨味もたっぷり染み出してるからな。100cc程の少ない量だが、これで劇的に味が変わる。これは『元だし』と呼ばれるテクニックで、やり方は多少違うがプロのおでん屋等でも用いられているテクニックだ。

 おでんつゆが温まって来たら、大根、じゃがいも、昆布、卵、蒟
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