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提督はBarにいる。
ブルネイ第一鎮守府・戦力考察
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せん……」

 目を伏して、悔しそうな表情を浮かべているのかと思ったが、どちらかと言うと憧れているというか、何かを思い出してうっとりとしている……そんな感じだった。

「この刀も提督から頂いたんですよ、かなりの業物だと思います」

 神通は嬉しそうに、腰に挿してある刀に触れて、愛おしそうに撫でている。筆者も訓練終了時にナイフを貰ったが、個人の力量や戦い方に合わせた物を贈られているらしい。

「そういえば、剣術に関しては師匠が海軍の中にいると聞きました。加賀さんか金剛さん辺りなら詳しい話を知っているのでは?」

 去り際に有力な情報を得た。早速どちらかを探して話を聞いてみようと思う。





《戦艦・金剛の話》

「darlingの剣の師匠?……あぁ、三笠お姉様の事デスか」

 いたくアッサリと、その名前が出てきた。しかし戦艦三笠とは。筆者も直にお逢いした事はないが、その名前はよく聞いた事がある。

 海軍が海軍の形をまだ成していなかった頃、砲の1つも持たずに刀だけで深海棲艦と渡り合った女帝。今は第一線を退き、大本営の新任提督を育てる為の部署で教鞭を執っていると聞き及んでいるが。

「最初はdarlingに暇潰しの相手を頼んでいたらしいネ。けど、筋がよくて途中から本気で教えてたらしいよ?」

 そう言って紅茶を楽しむ提督の妻は、三笠本人からそれを聞いたのだというから事実なのだろう。あの無尽蔵にも見えるスタミナに、戦艦三笠から引き継いだ確かな技術、そしてあの超ドSな性格……強いハズである。なので筆者は新入の艦娘に忠告したい。提督の強さに疑問を持つこと無かれ。例え昼行灯のように見えても、その中身は想像以上の存在である。

《編集者:ブルネイ第一鎮守府所属・重巡洋艦青葉》





 あの報告書のファイルを読んだ時から、木曾はウズウズしていたのだ。あの武蔵や神通、夕立があれほど強いと語る提督は、一体どんな強さなのか。いつかは挑んでみたいと、常々そう思っていた。しかし提督は自ら新人教育をする事は無くなったし、普通に頼んでも本気の勝負はしてくれない。だからこそ、『出来る範囲でなら何でも望みを1つ叶える』という条件を出されるケッコンカッコカリのタイミングまで我慢して、己を鍛え上げたのだ。そして今日、その時は訪れる。
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