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提督はBarにいる。
ブルネイ第一鎮守府・戦力考察
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一つは何らかの武術・及び刃物等の近接武器による戦法を修めている』

 という点である。通常の艦娘は砲撃・雷撃といった、軍艦の戦闘方法に依存した戦い方しか出来ず、ごく少数ではあるが刀槍等の近接武器を使用する者がある程度で、まず殴り合いをしようとする者はない。元々が艦である、それが当然と言えよう。しかしそこに異を唱えたのがこの鎮守府の提督である金城だった。着任当初は『普通』の艦隊運営であった彼は、沖ノ島海戦で空母を轟沈させるという失態を犯した際に方針を転換。『艦娘個人の戦闘能力を高めて生存性を高める』事にしたのだ。

 元々柔術の選手であり格闘技マニアでもあった彼は当時所属していた艦娘達を鍛え直す為の1ヶ月間のカリキュラム、通称『提督'sブートキャンプ』を策定、所属艦娘の必修課目とした。内容は徹底した基礎体力作りと筋力トレーニング、更に人体の効果的な動かし方と格闘術、刃物等の近接武器の扱い方である。最初は反発や抵抗があったものの、金城提督はそれを『力』で捩じ伏せた……文字通り、実力行使である。

 完膚無きまでにボコボコにされた艦娘達を前にして、

「お前らの実力ってぇのはその程度だ、敵陣のど真ん中で弾切れ起こした、装備が壊れた、敵に捕まった……武器もねぇ、そんな状況下に陥った時にお前らはもう無理だと生きる事を諦めて”死“を受け入れるのか?そんな物は俺が許さねぇ。生き恥を晒そうが泥水を啜ろうが、生き残って帰還する事を最優先にしろ。死ぬ事が美徳なんてのは糞喰らえだ、生き残る為の体力であり、格闘術・武器術だ。俺が教えられる全てを叩き込む……お前らにとっちゃ地獄を見る事になるだろう。俺が憎けりゃかかってこい、俺をぶっ殺せるだけの力を付けて見せろ」

 そう言って煙草をふかしながら不敵に笑ってみせたという。そこからの一ヶ月間は金城提督の言う通り、正に生き地獄だったという。その苛酷さは鎮守府No.1の空母・加賀をして

『あの地獄よりはどんな海域もマシ』

 と言わしめる程で、一ヶ月間後には通常の戦闘に加えて近接戦闘にも対応可能な屈強な古参兵が50人誕生したという。そして何よりも、提督自身への絶対的な信頼ももたらされたのである。




 更にこの鎮守府には、大規模な工廠設備と3度の飯より悪ノリが好きだという明石と夕張、そして妖精さんが揃っていた。……いや、揃ってしまっていた。一ヶ月間にも及ぶ苛酷な訓練へのお祝いとして、工廠部隊は提督と深い繋がりのあったラバウル技研に協力を要請。新開発の鋼材を作り上げ、それを元にして彼女らと提督の為に接近戦闘用の武器を作り上げたのだ。刀や槍、ナイフに始まり、果てはメリケンサックやトンファー等々……中には両手で取り回せるサイズの錨を注文した駆逐艦もおり、その娘は多数の敵艦を撲殺したとの非公式記録が残って
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