オトコ持ちのから騒ぎ!?・その5
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いやに帰りが早いけど、もしかして大将閣下に気を遣わせてるんじゃないかと思って」
確かに、最近の霧島は定時になると鎮守府を後にして夕食の買い出しをして、慎二を出迎えるパターンが多い。それまでは慎二よりも帰りが遅いことはザラだったのに、それを不可解に思ったらしい。
「あぁ、そういう事ね。それなら大丈夫よ、今私新人教育カリキュラムの教導担当だから」
「へ、何それ」
本来、艦娘というのは建造して直ぐにでも実戦投入が可能な姿で生まれてくる。しかし金城提督の鎮守府では、生存能力向上の為に新規着任艦や新たに建造された艦娘は差別なく1ヶ月間の基礎訓練カリキュラムに編入されるのだ。
「うへぇ、あの大将閣下が組んだメニューだろ?かなりキツそうだね……」
「そうかしら、今は私達が教官やってる分優しいと思うけどな」
あの当時、提督直々に鍛え上げられた艦娘達は今も鎮守府の一軍メンバーとして活躍する面々である。しかしそんな彼女らをしても、『提督の訓練カリキュラムはもう嫌だ』と言わしめる程の地獄だったらしい。神通等は新人を鍛える時に『提督の訓練はこの10倍は厳しいですよ?』とニッコリ笑うらしい……実際事実だから笑えないのだが。
「相当キツかったんだね……」
「まぁね。お姉様もあれだけ提督LOVEだって言ってるけど、訓練の最後の方は顔が能面みたいだったし」
何食わぬ顔でそう語りながら、目の前でポリポリと漬け物のキュウリをかじる眼鏡の可愛らしい新妻を怒らせる事はすまい、と若き憲兵橘 慎二が密かに心の中で誓った瞬間である。
「あ、もうこんな時間!そろそろ出ないと遅刻するわよ!」
「あ、ヤベェマジだ!ご馳走さまっ!」
ゆっくりと朝食を楽しんでいた2人は時計を確認すると、慌てた様子で朝食の残りを掻き込み、味噌汁で胃袋に流し込んだ。
バタバタと着替えを済ませ、2人並んで玄関を出る。戸締まりを終えてさぁ出勤、というタイミングで霧島は忘れ物の有無を確認するのを思い出した。
「忘れ物は?」
「1つだけ」
「ちょっと、鍵かける前に……んっ!」
慎二は霧島を抱き寄せると、玄関の外だと言うのに唇をチュッと重ねた。所謂『行ってきますのチュウ』という奴だ。隣近所から何やらドスンドスン音がする気がするが、そんな騒音が耳に入らない位霧島はアワアワしている。
「じゃあね、きぃちゃんも遅刻しないようにね!」
悪戯っぽく笑いながら、慎二はマンションのエレベーターに向かって駆けていってしまった。固まった状態の霧島を残して。その後、霧島が再起動したのはそれから3分後の出来事であった。
「……と、こんな感じですが。皆さんどうしました?」
キョトンとしている霧島
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