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提督はBarにいる。
心ばかりの豆腐尽くし・3
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だ。しかし今宵は辛い物が好きそうなアイオワの歓迎会だ、奮発して花椒は多めにしておこう。

 味が決まったら香り付けの黒いりごまを加えて、水気を切っておいた豆腐を手で大きく崩しながら加える。賽の目にカットして加えてもいいんだが、断面が粗い方がたれとの絡みがいい。豆腐も温まったら完成だ。

「ホイきた、『提督特製・麻婆豆腐』だ。辛いし熱いから気を付けて食べろよ?」

 アイオワはレンゲを手にして目をキラキラさせて麻婆豆腐に挑みかかる。レンゲに山になるように掬い上げ、大きく口を開けて一口で全てを放り込む。

「あっふ!」

 だから熱いと言ったろうに。そのアメリカンダイナマイトなバストがブルン、と揺れる程悶えている。ハフハフと涙目で口の中の熱気を逃がしているが、未だに顔が真っ赤だ。口の中を冷やすには、やはりビールだろう。俺は2人分のジョッキを支度してスーパードライを注いでやる。アイオワの隣では金剛が、フゥフゥと慎重に匙の中を吹いて、冷ましてから頬張ってはいるが、熱々の豆腐は中々冷めない。

「あふぉふ!」

 アイオワに負けず劣らず変な声を上げている。……どれ、俺も冷めない内に味わうとしよう。俺の分のスーパードライを準備して、行儀は悪いが直接鍋から掬い上げて食べる。

『成る程、こりゃ熱がるワケだ』

 豆腐は中に熱気を閉じ込めており、それを助長するようにたれもとろみのせいで冷めにくい。豆板醤がチリチリと舌を刺激して来るのも熱さへの援護射撃になっている。…しかし、あれだけ入れた花椒が全く効いてこない。分量が足りなかったか?

「熱いけど、そんなに辛くなっーー!」

 辛くない、とアイオワが言いかけた時だった。3人同時に、口の中で花椒が『炸裂』した。最早辛いというより、痛い。辛味は痛覚だと科学の実験で証明されていて知ってはいたが、まさかこれほどとは。3人がそれぞれジョッキを引っ掴み、ゴッゴッゴッと喉を鳴らしてスーパードライを煽る。キリッと冷えた黄金色の液体が、その痛みを洗い流していく。一気に飲み干した3人がジョッキを置いた所で、俺が口を開いた。

「すまん、いくらなんでも辛くし過ぎた」

「らいじょうぶ、かりゃいけどおいひいわ」

 アイオワはまだ舌が痺れているのか、呂律が上手く回っていない。その隣の金剛はカウンターに突っ伏して撃沈している。




 ヒィヒィ言いながら麻婆豆腐を平らげた後、アイオワから次なるリクエストが飛んできた。

「ねぇ、トウフでボリュームのある物って出来るのかしら?」

「勿論。任せてくれ」

「で、出来たら辛くない物をお願いシマス……」

 未だにカウンターに突っ伏したままの金剛が、それだけ絞り出した。

「解ったよ、辛くない奴な」

 苦笑いしなが
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