暁 〜小説投稿サイト〜
提督はBarにいる。
心ばかりの豆腐尽くし
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「うん、甘くて美味しい♪」

「口当たりがとってもソフトだから、飲みやすいネー!」

 そう、その飲みやすさがウチの店でドンペリを扱わない最大の理由だ。




 昔、1度だけドンペリを大量に仕入れた事があった。とあるお祝い事の為だったのだが、飲兵衛共に見つかってしまいその日は大試飲会になってしまった。甘くて飲みやすいドンペリは、飲兵衛達からすればそれこそジュースと何ら変わりなく、終いにはラッパ飲みまで始まる始末。結局仕入れたドンペリを全て飲み干されて呆然としている俺に、

「甘過ぎて飲んだ気がしない。焼酎やウイスキーの方がいい」

 という身も蓋もない言葉がトドメを刺し、以来ウチの店ではドンペリを仕入れなくなった。飲兵衛共にゃ高い酒は勿体無い。

「さて、リクエストは豆腐料理だったな。まずはシンプルに冷奴だ」

 そう言って俺は金剛とアイオワの前に水気を切った豆腐を一丁、そのまま皿に載せて出してやる。ネギや生姜すら載っていない、まさに豆腐のみである。

「ちょっとdarling、これは手抜きじゃないんデスか!?」

 まぁまぁ落ち着け金剛。薬味は今から出てくるんだよ。

「上に載せる薬味やタレは、こっから好きなのを選んでかけて食べな。少しずつ色んな物をかけるもよし、1種類だけを沢山かけるもよし」

 俺が用意した薬味は10種類、タレは5種類。

《タレ》

・塩レモンだれ

・ごま油ポン酢

・中華風万能ニラだれ

・大葉にんにく醤油

・韓国風ネギだれ「ヤンニョンジャン」

《薬味》

・じゃこニラトマト

・しょうゆ卵

・しらすわさび

・めかぶ納豆

・アボカドキムチ

・ミョウガキムチ

・塩麹トマト

・らっきょうそぼろ

・ネギラーメンマ

・食べラーザーサイ



……の変わり種15種類。勿論シンプルに醤油やポン酢、刻みネギやおろし生姜も支度してある。豆腐はその淡白な味ゆえに和洋中、どんな味にでも合わせやすいのが特徴だ。

「このドレッシング、スパイシーで美味しい!」

「このレモンのタレも爽やかで美味しいネ!」

 2人も思い思いの組み合わせを楽しんでいるようだ。詳しい作り方は次回にでも。
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