提督の素顔と目覚めの一杯
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応接用のソファに腰掛け、アイオワもその隣に腰掛けた。
『ねぇ、さっき言ってたけど……darlingてまさか』
『あれ、言ってませんでしたっけ?私の夫はここの提督ですよ』
『聞いてないわよ!何でそんなに大事な事、早く教えてくれなかったのよ……』
そんなに大事な事だろうか?と金剛は思案する。確かに提督の正妻というポジションに収まってはいるが、ケッコンカッコカリした艦は複数居るし、今後も増えるだろう。提督も(好意の無い者は除いて)ケッコン艦からの愛を全力で受け止めているので半ばハーレム状態だ。
そんな特殊過ぎる状況下に居るからなのか、あまり提督の正妻というポジションへの拘りが薄らいで来ていた金剛である。提督自身が好いてくれているからこそ、最終的には自分の所へ戻ってくるという確信にも似た信頼があるからか、他の嫁艦とイチャついていても、結婚前のように嫉妬に狂うような事は無くなった。倦怠期なのか?と問われればそんな事はなく、2人きりの時には互いに甘えたり愛を語らったりしている。何とも不思議な距離感の夫婦なんだな、と客観的に見て再認識させられた。そんな所に
「う〜っす、真面目に仕事してるかぁ?」
提督がのっそりと執務室に入ってきた。身嗜みは整っているが、まだ少し眠いのか足取りは重い。その緩慢な動きと巨大な体が相俟って熊のようだ。執務机に備え付けられた椅子にドカッと腰掛けると、大きな口を開けて生欠伸を噛み殺している。
「では提督、午前中の引き継ぎを」
眼鏡の位置を直しながら、提督の執務机の前に立つ大淀。
「おぅ。……金剛、悪いがいつもの頼むわ」
「OK、仕方無いネー」
いつもの、とは起き抜けのコーヒーの事だ。ぼやけた頭をシャキッとさせる為、寝起きでコーヒーを飲むのが提督の流儀だ。手が空いている時には出来るだけ金剛が淹れるようにしている。
執務室の横に備え付けられている給湯室に向かい、業務用のコーヒーミルに豆を入れる。市販の電動ミルや手挽きのミルも試したが、やはり業務用のミルが一番粒の大きさ等が揃う為に扱いやすかった。
粒の大きさは抽出の仕方で変えるのが望ましい。提督はエスプレッソのような濃い目が好きな為、極めて細かく挽いてやる。なるべく熱を加えず、細かくなりすぎた粉や豆の渋皮を取り除いてからエスプレッソマシンの中へ。電気式の方がより濃厚に抽出出来るとの事で、電気式のマシンを使っている。豆がセットされたマシンが加圧を始め、コーヒー液を抽出していく。提督はカフェラテ、大淀はキャラメルマキアートだったか。金剛はアイスクリームを加えたアフォガードにした。龍驤とアイオワの好みは解らない為、何も加えずに出して自分で調整してもらおう。
「どうぞ」
「あぁ、サンキュー。
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