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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百三十三話 捕虜交換後(その1)
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事はおかしな話ではない。

気になるのはこの先同盟でクーデターが起きるかどうかだ。原作だとクーデターはラインハルトが起したものだと考えがちだが、元々同盟軍の内部にはクーデターを計画していたグループが存在したのだと俺は考えている。

おそらくその首謀者はエベンス達佐官クラスの士官だろう。軍国主義者と言って良い。彼らは自分達だけでは周囲がクーデターを認めないと見た。だから軍内部でも良識派として知られていたグリーンヒルを担ぎ上げたのではないだろうか。

彼らのクーデター計画案はラインハルトの計画案ほど成功率が高いものではなかった。そのためグリーンヒルはクーデターの実施に躊躇った、或いはグリーンヒルが彼らを抑えた。ラインハルトの計画案は躊躇していたであろうグリーンヒルの背を押したのだ、そう考えないとクーデターが余りにもスムーズに起き過ぎている事に納得がいかない。

捕虜交換が帝国暦四百八十八年、宇宙暦七百九十七年の二月中旬に行なわれている。クーデターの第一撃が起きたのは四月初旬。リンチ少将が何時戻ったかだが、彼は前年の十一月にラインハルトに呼び出されている。

オーディンからハイネセンまでは二月半はかかるだろう。となればリンチがハイネセンに戻ったのは一月の中旬から下旬、或いは二月になっていたかもしれない。四月初旬にクーデターの第一撃が起きたのだから、準備期間は最大で見積もっても二月半だ。

もし、クーデター計画がこの時点で既に存在しなかったとしたら、この二月半の間にリンチはグリーンヒルを説得し、グリーンヒルは人を集めクーデターの準備を行った事になる。事が事だ、安易に話せることではないし、頻繁に集まって相談できる事でもない。計画そのものは既にあり、人員も揃っていたと見るべきだ。

この世界ではどうなるか? 同盟軍の内部は帝国ほど一つにはまとまっていない。この点については原作もこの世界も変わらない。となれば軍国主義者達がクーデターを起す可能性は有るだろう。正直に言えばクーデターは起きてもらったほうが有難い。同盟にクーデターを仕掛けようとは思わないが彼らが勝手に内部分裂で潰しあってくれるのは万々歳だ。

だがグリーンヒルは総参謀長の地位に在る。そして同盟軍の政府、軍部の関係は決して悪くない。となればグリーンヒルがクーデターを起すとは思えない、またエベンス達、いやエベンス達とは限らないが軍国主義者達がグリーンヒルを担ごうとするとも思えない。

となると誰がクーデターを起すか、そして地球がそこにどう絡んでくるかだ……。去年は帝国が混乱したが今年は同盟が混乱する可能性が大だ。そして帝国の混乱は再生への混乱だったが同盟の混乱はおそらくは終幕への序曲となる……。同盟政府、軍上層部がクーデターをどう防ぐか、地球の件に気を取られているとそれを見逃すこ
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