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提督はBarにいる。
縁起物で福を呼べ!・2
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「え〜!?この店にそんなルール無いでしょお!横暴よ、横暴!」

「うるせぇ!これ以上は明日の出撃に差し支える、これ食って、さっさと寝ろ!」

 そう言って俺が出したのは、1杯のうどん。鰹と昆布の合わせ出汁に、コシの強い手打ち麺、具材はネギにかまぼこ、天かす、花かつお、朧昆布と大して珍しい具材は無い。

「うどん?うどんのどこが縁起物なのよ!」

「いやいや、うどんは案外侮れない縁起物だぞ?」

 昆布は昔から「喜ぶ」から転じて縁起物とされているし、子生婦の当て字で良い子を授かるようにと、子孫繁栄を願う為に結納の品の定番だ。

 そして鰹節。勝男武士と戦国時代には勝利を招く食材として人気だった鰹節は、背中側と腹側とで出来る鰹節の種類が異なり、それぞれ雄節・雌節と呼ばれる。それら2つがくっついている為、夫婦円満の願いを込めて贈られるのさ。

 最後にうどんだ。元々太く長く、長寿を願う縁起物だったが、離婚の多い昨今では、夫婦の縁を長く太い物にして欲しいと贈り物として贈る人もあるらしいからな。古くからの言い伝えじゃねぇが、採用してみた。

「成る程ねぇ……あ、美味しい!」

「まぁ、手打ちの打ち立て、切り立て、茹で立ての3立てだからな。美味いだろうさ」

 俺と早霜もズルズルと啜る。やっぱりしっかりと出汁をとっただけあって、最高に美味い。

「にしても……職場恋愛かぁ。考えた事も無かったなぁ」

「足柄さんなら、直ぐにでもイイ人が見つかりますよ」

「そうよね!さぁ、明日からもバリバリ頑張るわよ〜!」

「ま、程々にな」

 そんな会話を交わしながら、3人ほぼ同時に汁を飲み干して足柄は揚々と帰っていった。その数ヵ月後、足柄は整備員の若い工員とのデートを青葉にスッパ抜かれるのだが、それはまた別の話。
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