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提督はBarにいる。
6月第3日曜日・13
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「……龍驤さん、行きました?」

 そう、今俺の背後に隠れていた赤城のように。




「お前らのそのトラウマ意識もどうにかならんのか?全く……」

「む、無理ですよぉこればっかりは…」

 そう言って縮こまる赤城の手には、上手そうに焼けたローストチキンの脚が載った皿が収まっている。

「お、それは空母の連中で作ったのか?」

「え?えぇまぁ。鳳翔さんは軽空母の方に回ったので味は保証できませんが」

「まさか。調理の班長は加賀だろ?それなら味の心配はしてねぇよ」

 そう言って赤城の皿からチキンを取り返し、かぶりつく。……うん、程よい塩加減とスパイスの辛味が鶏の旨味を引き出している。流石は加賀だ。

「喜んで貰えたなら何よりだわ」

「お前もいたのかよ、加賀」

作った張本人も隠れていた。お前らどんだけ龍驤が怖いんだよ。その手にはローストビーフがあり、口は忙しなく動いている。

「やはり鳳翔さんです、このローストビーフは絶品……流石に気分が高揚します」

「そんなに美味いのか?一切れくれ」

 俺がフォークを伸ばすと、加賀は身を捩って皿を隠す。

「これは譲れません。どうしてもというなら、一切れ一発(意味深)でお譲りします」

「あ、加賀さん抜け駆けずるい!」

「そうですよ、提督の一発(意味深)は貴重なんだから!」

「そうだよ、みんなで分け合わないと!」

「でもそれだと一人当たりの分量が……」

「夕雲姉さん、一発(意味深)って?」

「清霜さんは知らなくていいの、そのまま純真なままでいてね?」ニッコリ

 純真無垢な駆逐艦も近くにいるんだから自重しろよ、この嫁艦共は……。そんな空母達のやり取りを見て、流石の金剛も苦笑いしている。

「あ〜、いいよいいよ。自分で取ってくる」

 やいのやいの猥談を繰り広げている嫁艦空母共を尻目に、自分でローストビーフを取りに行く事にした。生々し過ぎる話を聞いていたくなかった、ってのもあるんだがな。
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