6月第3日曜日・11
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がいいか、と見回していると、カナッペとカルパッチョが目に留まった。どうやらどの姉妹が作ったのかを掲示してあるらしい。
「川内型と球磨型か……よし」
ビュッフェ形式らしく、食べたい量を各自で取って食べるスタイルらしい。俺は3種類のカナッペとカルパッチョを取ると、元の席に戻った。酒は先程注いでもらったシャンパンでいいだろう、という判断だ。さて食うかとフォークに手を伸ばした瞬間、
「よぅ『親父』、飲んでるか?」
と声を掛けられた。
「バカ言え、さっき乾杯したトコだぞ?これから飲むんだよ木曾に天龍」
視線を持ち上げると、盃と一升瓶……それに自分達が座る席を持ってきて笑う木曾と天龍の眼帯コンビがいた。
「よっこら……せっと。邪魔するぜ、親父」
そう言ってニヤリと笑いながら、持ってきた椅子に腰を下ろす天龍。よっこらせ、なんて言ってる時点でババ臭いぞなんて言いたくなったが止めておいた。背後から龍田に刺される、なんてのはご勘弁願いたいからな。
「お前らまで親父呼びか。悪ふざけにも程があるだろ」
「まぁそう言うなって親父。俺達だってアンタを親同然に思ってんだからよ」
そう言いながら3つ持ってきた盃に一升瓶の中身の日本酒を注いでいる。
「よりによって洋食にポン酒かよ。そこは気ィ遣ってワインかシャンパンだろ」
「いいじゃねぇかよ、飲めねぇ訳でもあるまいし」
そう言って天龍は俺に盃を延べてきた。朱塗りの美しい盃だ。カルパッチョを2、3切れ口野菜と共に放り込み、グイッと盃を煽る。サーモンの脂をフライドガーリックの風味とパルメザンチーズの塩気が引き立てる。そこに玉ねぎがピリリと利いてくる。
「どうだ?」
少し不安そうな表情の木曾。味付けしたのは木曾だったのか。
「……まぁまぁだな。こいつぁ生のサーモンだろ?それならスモークサーモンを使うか、酸味にバルサミコかビネガーを少し加えた方が味に締まりが出る」
こういう時には下手に褒めず、忌憚の無い意見を述べてやった方がいい。それがキツいという奴もいるが、それでは作った本人の向上に繋がらない。
「やっぱりなぁ、俺もスモークサーモンを使おうと思ったんだが……球磨姉がな」
「あぁ、大方『生の鮭しか認めんクマー!』とか喚いたんだろ?」
「流石にバレバレか」
ハハハハハ、と笑いを交わす俺達3人の下に、忍び寄る人影が1つ。
「てーとくさんっ!」
聞き覚えのある弾むような声と共に、細い腕が俺の首筋に巻き付いて来た。
「ぐおっ!?夕立、ギブギブ!マジで入ってる!」
「えへへぇー♪てーとくさん〜♪」
背後からは完全に酒気の匂い。間違いない、酔ってやがる。夕立、尚も俺の首筋に巻
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