第7章 聖戦
第158話 魔が……騒ぐ
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ブルグ……と言うか、アルザス地方と言うのはガリアとゲルマニアの国境に位置する地方。両国で戦争が起きる度にゲルマニア領になったり、ガリア領になったりする地域の事。確かに今はガリア領と成っているが、言語はハルケギニアの基本、ガリア共通語が通用するが、それ以外にゲルマニアの言葉に近いアルザス語と言う言葉を庶民が使って居る地方でもある。
地球世界の物語。最後の授業と言う物語の舞台となったのがこの地方だったと記憶している。
ただ……成るほどね。そう言えば、あのルルド村の事件の最後に現われた這い寄る混沌の一顕現、ゲルマニア皇太子ヴィルヘルムの言葉の中にひとつ――
「それに、ここ。ルルド村の事件に貴方とシャルロット姫が派遣されて来た、と言う事は、リュティスを挟んで反対側。鬼門の封じは既に破られたと言う事ですね」
――この言葉を忘れていた。ガリアの裏鬼門がルルド村を含むガスコーニュ地方なら、鬼門はアルザス地方。
あの時の言葉はつまり、アルザス地方で起きる反乱の意味だったと言う事か。
確かに地球世界のスペインを含むガスコーニュ地方は、元々ガリアの領地ではなく併呑してガリアの領地となった土地。そして、それについてはアルザス地方も同じ。
元々、このハルケギニア世界のガリア王国と言う国は多種多用な民族が暮らす多民族国家。基本的に何処の都市……貴族が独立を計ったとしても不思議でも何でもない。
どんなに善政を敷いた心算でも、その事について不満を持つ者は現われると言う事か。
例えば、ガリアでは貴族が領民に対して勝手に税を掛ける事を禁止している。確かに、それぞれの領地に因って事情も違うので、王に対して正当な理由を述べて税率を変える事を申し出れば許可される事もあるが、基本的に勝手に税率を変える事はそれが例え聖堂の荘園であったとしても禁止されている。
初夜権にしてもそう。その他、民に対して金を貸し付け、法外な利息を取る事も当然、禁止している。都市に入る際の通行税の類も必要最小限に抑えるようにしている。
確かに貴族や聖堂によっては、もっと自由にさせてくれ、と感じる連中が居るのも事実なのでしょうが。
少しの後悔を感じながらも、人の心を完全に制御出来る訳ではないのでこれは諦めるしかないか。……そうやって、陰気に染まり掛ける心を無理に前向きの方向へと向ける俺。それにトータル的にみて、間違った方向。……明らかに悪政を敷いているのが分かるような状態に成らなければ良い。そう割り切るしかないのでしょう。
「成るほど。何故、オルレアン大公やガスコーニュ公、東薔薇騎士団の計画が失敗に終わったのか分かるような気がするな」
城門を奪って、異教徒どもを呪われた街ごとすべて焼き尽くす……と言う訳には行かなくなったか。
相変わらず余裕を感じさせ
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