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蒼き夢の果てに
第7章 聖戦
第158話 魔が……騒ぐ
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 更にその後ろにはこのガリアの賢者枠に納まる三人と、俺と契約を交わしているラグドリアン湖の精霊がいる。一般的に知られているラグドリアン湖の精霊の能力だけでも並みの系統魔法使い一人では太刀打ち出来ないのに、今の彼女は目覚めている状態。
 こんなの正面から戦っても敵う訳がない。

 普通に考えるのなら、この場所に衛士がいないとしても、この宮殿の中にはかなりの数の衛士が務めている。そいつらが、この部屋に入って来ない段階で、今の状況がおかしいと気付くべき。
 このジャック・ヴェルフォール自身の能力が万夫不当とでも言うべき能力を有していたとしたら……いや、それでも多分足りないか。
 コイツが世界の在り様を歪められる。その場に顕われるだけで、周囲を異界化現象で包み込む事が出来るほどの狂気を纏った存在でない限り、この場では何も出来ずにキャインと言わされて終わるだけ。

「それがリュティス市内で騒動を起こす予定のあんたの仲間たちの事を言っているのなら、この場に西薔薇の副長がいない事が答えとなっていると思うけどね」

 もうとっくの昔に捕まっているよ。
 この場で、奴の問い掛けに答えるのが一番相応しい人物。イザベラが俺たちの余裕の態度の理由の説明を行った。かなり、呆れた者の色の濃い声音で。
 もっともその内容に関して言うのなら、別に驚くべき事実と言う訳ではない。大体、あの怪しげな……御伽話に出て来る悪い魔法使いのような衣装でこの場へ五体満足な状態でやって来られた段階で、自分が泳がされていた事に気付くべき。
 そもそもイザベラの傍には個人の情報を収集する事をもっとも得意とする黒き知恵の女神……と言うには見た目が幼すぎるが、ソロモン七十二の魔将の一柱ダンダリオンが居る。彼女の諜報の目を潜り抜けて、このリュティスでテロ活動を行うのはかなり難しいでしょう。
 ……オルレアン大公によって騎士に任じられた人間では特に。

 それともコッチの方かい。更に続けるイザベラ。

「あんたの親の領地なら、アルザスのシュラスブルグ包囲に向かったと発表した西薔薇の主力が先に落としているよ」

 ガリア主力の騎士団を前後から挟撃する心算だったみたいだけど、無理だったみたいだね。
 俺と対する時とまったく変わりのない口調。一国の、それも超大国の姫君としては多少……では納まらないレベルで問題のある口調で続けるイザベラ。ただそうかと言って、諜報部門のトップの口調としても問題があるとも思うのだが。
 もっとも内容に関しては至ってシンプル。王都で騒動を起こすだけで終わるのなら、わざわざこんな危険な場所に単独で乗り込んで来る訳はないか。ならば、王都で騒動を起こすと同時に、別の場所でも何らかの動きは有って当然でしょう。
 それに……。
 それに、そもそも、そのシュトラス
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