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第3話 〜闇夜の恐怖〜
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即座に動いた。
先にハヤテを襲ったのは粘液、真っ直ぐに飛んでくる粘液を彼は簡単に避けた。地面に落ちたその粘液は蒸発し、それが強酸の粘液だと彼は知った。次に襲ったのはツル、そのツルの先には鋭利な刃の役割を果たす葉が付いていた。ハヤテはそのツルを紙一重で避けたが頬に切れた感触を味わい、彼のHPはほんの少しだけ減少した。


「……やはり動いてくれないか」


 ユウキとランを横目にハヤテは呟いた。
姉妹の目はハヤテを見ているが、身体は先程から動いていない。やはり怖じ気づいたのだと彼は確信した。


「まあいい……まずは一つ!」


 ハヤテは剣を構え直した。
ハヤテの目の前にいるのは口を大きく開けたペネント。ペネントはハヤテを捕食しようと近づいた。そしてハヤテとペネントの距離が狭まると、ペネントは口をさらに大きく開いた。ハヤテは剣を構えながらペネントに自分から近づいていく。


……両者がぶつかる寸前、ハヤテはペネントを避けるように横に逸れた。そして透かさず片手剣ソードスキル【ホリゾンタル】を発動した。水平に胴体を斬られたペネントは足である根を止めると上下に別れ、その後は青白く光って四散した。


「……次!!」


 ペネント一体を倒した後、ハヤテはすぐに二体目の方へと動いた。
二体目とした標的は、強酸性の粘液を吐いた【リトルペネント】。ハヤテのすぐ近くには三体目……ツルを伸ばしたペネントが健在しているが、二体目は粘液を吐き出した後に棒立ちのユウキ達の方へと向かっていた。


(……面倒だが、死んだらもっと面倒だ)


 面倒だと思いながらハヤテは二体目の方へと走っていった。
しかし、そこには二体目を迎撃しようと剣を構えるユウキとランの姿があった。……先程まで動かなかった二人が何故。ハヤテは不思議に思った。

……二人は先程まで硬直していた。その原因はもちろん【リトルペネント】の外見、そのおぞましい姿を見た事で二人は恐怖した。その恐怖はどんどん増していき、それは自分がペネントに捕食され死んでしまうというなんともけしから……恐ろしい想像を脳内に作り出してしまった。その想像により、二人は足がすくんでしまい、動けなくなった。


……しかし、二人はその恐怖を乗り越えた。それはハヤテがペネントを倒した事にあった。彼は傷ついても襲い掛かってくるペネント達を恐れなかった。そして自分達の恐怖の対象、【リトルペネント】をあっさりと倒してしまった。


 ……ハヤテがあんなに頑張ってるのに……
ユウキとランは、自分達の方へと向かっているペネントを追撃しているハヤテの様子を見て思った。無愛想なのは相変わらずだったが、その動きはとても早く必死だった。……彼は自分達の事も守ろうとしている。



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