嗚呼、懐かしの烏賊尽くし・その3
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ねたタネを小判型に成形。後はバッター液とパン粉を付けて、油に静かにIN。十分に熱せられた油から、ジュワアアァァァ……と美味そうな音が響く。
「あら〜?あんまり跳ねないんですね?」
そうカウンター席から尋ねてきたのは愛宕だった。俺のイカ談義を聞いて居ても立ってもいられなかったらしく、開店直後にやって来て、《韓国風イカばくだん》と『村尾』のロックで一杯引っ掻けていた。
《提督特製!韓国風イカばくだん》※分量3人前
・ひきわり納豆:2パック
・山芋5cm位(もっと多くてもOK)
・オクラ:5本
・イカ刺し80〜100g位(量によって味を調節)
・きゅうり:半分
・【韓国風漬けマグロ】:200g材料は↓
・マグロブツ:200g
・コチュジャン:大さじ1
・醤油:大さじ1.5
・すりごま:大さじ1
・ごま油:小さじ1
・※その他刻んだ沢庵なんか入れても美味いぞ。
漬けマグロさえ作っておけば、後は全ての材料を細かい角切りにカットして混ぜるだけ。韓国海苔に巻いて、ご飯に載せて。……あぁ、卵黄載せてグチャグチャに混ぜても美味いな。
……話が逸れた。フライが油はねしない、って話だったな。
「そりゃそうだ、イカの揚げ物っつっても、油が跳ねやすいのは天ぷらと唐揚げ、フライは跳ねにくいのさ」
「へ〜、何でですか?」
「天ぷらも出してやるつもりだから、そん時にな」
「んもう、ケチ!」
そんな会話を交わしている内に、フライが良い色になってきている。油から揚げてサッと油を切り、ウスターソースに両面を潜らせる。衣がベチャッとならない程度に、あくまで軽くな。何なら、潜らせないでかけてもOKだ。後は上にマヨネーズと青のり、花鰹をかけたら完成。
「へいお待ち、『イカのお好み風フライ』だよ」
「で、では頂こう!」
店内が静まり返る。皆が固唾を飲んでグラーフに注目している。フライを箸でつまみ上げ、控え目に小さくかじりついた。サクリ、と軽い衣の歯応えが響く。サクリ、サクリと咀嚼していくグラーフ。
「……海を感じるな」
ポツリ、とグラーフが言った。
「魚のフライは色々と食べた。タラやサーモンのフライは私も好物なんだ。しかし、それとは明らかに違う味だ」
再びフライにかじりつくグラーフ。今度は先程よりも大きめに、青のりや花鰹も口に含んだ。口の中は今頃、海の薫りが充満している事だろう。
「魚とは全く違う。甘くて、モチモチしていて、コリコリしている。とても美味しいよ、アトミラール」
おぉ……とざわめく他の客達。
「これは日本酒よりもビールだな。アトミラール、アサヒを頂けるか?それと、フライのお代わりも」
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