嗚呼、懐かしの烏賊尽くし・その1
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。これお袋さんからの手紙っス。それとショートランド?でしたっけ、そこの提督さんからの書類」
そう言いながら勝は茶封筒と、『極秘』の判が捺された大きい封筒を手渡して来た。
「……中、見てねぇだろうな?」
「まさか!んなに馬鹿じゃねぇっスよ俺は」
そりゃそうだ。軽薄に見えるが変な所は真面目なのがこいつのいい所だ。
「あぁ、それと土産があったんだ」
そう言いながら勝は船の中の船員に何か指示をしている。しばらくして船員が抱えてきたのは、急速冷凍してブロック状の塊になった真イカだった。
「1ブロック20kgあります。それを15と、一夜干しが20kg。どうぞもらって下さい」
「いや待て、こんだけの量配ったら売り上げがマズい事になるだろうに」
「いやいや、むしろその逆っスよ!」
勝によれば、今年は真イカが獲れに獲れ過ぎて、既に船団の冷凍庫はパンパンらしい。これだけ積んでいると航行に使う燃料が嵩み、逆に儲けが減ってしまうらしい。そのため、適度な重さまで減らすついでに土産にして会いに来よう、ってのが勝の考えだったらしい。
「うん、やっぱアホだわお前」
「なんでっスか!零二さんは美味いイカが食えるんだから万々歳じゃないスか!」
「あのなぁ、ウチへの入港の許可取る前に出港したんだろ?不審船扱いで撃沈されても文句言えねぇぞ?」
「あ〜…そこまで考えてなかった」
だからお前はアホなんだ、と言いかけて止めておいた。こいつなりに俺を思っての行動だった訳だしな。少しは大目に見てやろう。
「んじゃ、届けるモンも届けたんで、俺ら行きますわ」
「もう行くのか?騒々しい奴だな、一晩くらい泊まってけよ」
「いや〜、明日の昼までに仲間の船と合流しないといけないんで。そういう訳で!」
勝はそういうと船に乗り込み、漁船はエンジンの唸りをあげて外海に向かって出ていった。ショートランドの護衛が待ってくれているらしく、帰りの護衛は断られてしまった。
「さて、と!皆で手分けしてイカを運ぶぞ。鳳翔と間宮の所にも運んでくれ!」
俺の号令と共に、ワイワイとイカを運び始める艦娘達。今夜はこいつでイカ尽くしだな。
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