今からでも遅くない!大人のBar使いこなし講座・その3
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けてしまっては店側としても迷惑だし、カウンターに5人以上が並んで話すには自然と大きな声になってしまう。ボックスシートがあるならいいが、カウンターバーでは避けた方がスマートだ。煩いと店の雰囲気を壊すから、と追い出される事も有り得るからな。
更に、着席する時のマナー。これはマナーというよりも気遣いの類いに近いが、ホテルバーではなく街のバーには大概、『常連さん』が存在する。その中には指定席のような物がある人もいるし、予約(リザーブ)席のサービスを行っている店だとそこだけぽっかりと空いたりしている。そこに座ろうとしてマスターに引き留められたりしたら赤っ恥、もしも彼女や仕事の上での営業先の人などと飲みに来た場合には、いい印象は持たれないだろう。なので初めて来た(又は来店回数が少ない)店だと、マスターに案内されるのを待つのがベターだろう。手順としては、
1.扉を少しだけ開けて中を覗き、『〇名ですが座れますか?』と尋ねる。
2.OKが得られたら店に入り、マスターの案内を待つか空いている席に近寄って座ってよいかを尋ねる。
3.マスターの了承を得たら着席
位の流れの方が不馴れな場合には座りやすいだろう。
「成る程ねぇ……気遣いって重要なのね!」
「まぁ、ウチの店はそんなに肩肘張らなくてもいいがな」
雷とそんな会話を交わしていると、カウンターの端に座った巻雲がカウンターに置いてあったワインボトルを弄っている。
「巻雲さん?お行儀悪いわよ?」
隣に座った夕雲が嗜めるが、不満げに口を尖らせる巻雲。しかしこの場合は夕雲が正しい。
バーの調度品ってのは店の拘りが表れる物だ。ラムのボトルが中身入りで置かれていたり、空でも珍しいワインのボトルが飾ってあったりする。しかもヴィンテージならボトルだけで数万の値が付いたりするお宝もあったりするのだ。手に取って眺めたい場合にはマスターの了承を得てからにしよう。
ここでちょっとした豆知識だが、バーテンダーを『バーテンさん』と呼ぶ人がたまにいる。実はこれ、バーテンダーという職種がまだ一般的でなかった頃に生まれた蔑称なのだ。WWUの最中、アメリカ人が日本人をjapと読んでいたのと同じような物だ。バーテンと呼ばれるのを嫌うバーテンダーを、俺も何人も知っている。呼ぶ際にはバーテンダーさんかマスターと呼ぶのが気遣いの出来る客だと、俺は思うがね。
「さぁて、と。ご注文は?」
「先生、質問なのです!」
注文を取ろうとした所で電が挙手をした。なんだか本当に学校の授業のようで、少し面白い。
「ん、どうした電(でん)ちゃん?」
「もう!だから電の名前は……もういいのです、最初の一杯目のお酒は何を頼めば良いのでしょうか?」
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