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提督はBarにいる。
変わりダネ!おにぎり特集C
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「味見してみな?さっきの2つよりはサッパリしてる筈だ。」

 そう言ってしおいに出来立てのを手渡してやる。一口かじると野菜のパリパリ、シャキシャキという歯応えがいい感じだ。そこにバジルの良い香りと、生ハムとチーズの塩気と旨味が混じりあってちょっと高級なサンドイッチを食べてる気分だ。

「うん!これなら大鯨さんも喜んでくれるかも!」

「そいつぁ良かった。……ま、頑張って作れや。」

「「ありがとうございました!」」

 2人は感謝の言葉を言うと、嬉しそうに出ていった。





〜数日後・夜〜

「……店長。」

「なんだ?」

「……暇ですね、珍しく。」

「たまにはいいさ。」

 客のいない店内で、会話を交わす俺と早霜。俺は煙草に火を点け、ふかしながらキッチンを磨く。早霜も普段磨けていない棚の奥にあるグラス磨きに着手したようだ。……と、扉が開かれ、客が1人ヨロヨロと入ってきた。

「おぅいらっしゃ……ってどうした大鯨!?」

 席に着いた大鯨の様子に驚いた。顔は涙と鼻水でグチャグチャで、酷い顔だ。しかもまだ泣き足りないのか、ヒックヒックとしゃくりあげている。

「て、提督〜〜!」

 うわああぁぁぁぁん!とカウンターに突っ伏して泣き崩れる大鯨。一体どうしたと言うのだろう。

「まぁ落ち着け。何か飲むか?」

「じゃ、じゃあ梅酒ソーダを……。」

 任せた、とに目配せをすると、わかりましたと無言で頷く早霜。早霜が支度している間に大鯨の隣の席に座る。

「一体どうしたってんだ?今日は確か潜水艦の連中とピクニックだったろ?」

 そう、今日はしおいが企画していたピクニックの日だったのだ。日頃の感謝をこめてそれは美味い弁当を作ったのだろう。その席で喧嘩でもしたのだろうか?

「私、私嬉しくて……!」

「え、じゃあ何か?弁当を作って貰ったのが嬉しくて、感動のあまりにこんなに泣いてんのか?」

「そ、そうです……。」

 呆れたぜ。ある程度は予想してたが、ここまで大泣きするとは思っても見なかった。

「なぁ大鯨、感動して泣きたくなるのは解るがよ、しおいを始め潜水艦の連中はお前に笑ってて欲しいんだ。」

「ふぇ?」

「それに、美人に涙は似合わねぇからな。……ほれ、ハンカチ貸してやるから顔拭きな?」

 そう言ってハンカチを差し出してやると、早霜が梅酒ソーダのグラスを2つ、差し出してきた。

「店長は大鯨さんのお相手してください。お客様も他にいらっしゃいませんし。」

『ジゴロの腕の見せ所ですよ、提督。』

 早霜は俺にだけ聞こえるように、ボソリとそう言った。ったく、誰が女誑しだっての。…まぁ、このままの状態の大鯨は放っておく訳
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