第二章 【Nameless Immortal】
肆 裏/表の接合点
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が消えていく。
残された二人は近くの停留所へ向け歩き出す。
「にしてもそっか、じゃあ明後日からは会える機会が減っちゃうんだ」
「授業は午前中だけだけどね。幾つかそっちと被るバイトもあったはずだし」
「でも午前は一人でしょ? この都市の人、皆がいなくなるんだね。少し寂しいなぁ……」
停留所には多くの待ち人が居た。椅子が埋まっているので二人は外で待つ。
立て掛けられた時計で時刻を確認する。さほど待たずに済みそうだ。
いつの間にか飴玉を口に放り込んでいたカノンと適当に雑談をして時間を潰す。
数分して来た路面バスに二人は乗り込む。
ドア口付近の手すりに掴まって立ち、発進したバスの揺れを感じながら外を眺める。
「カノンはこの後はバイト?」
「うん。貧乏暇なし。寂しい懐を何とかしないとね」
「僕としても痛い言葉だな。でも、それなら色々買わない方がよかったと思うけど」
「友達と遊ぶお金を勿体ないって思いたくないんだ。他の所削るから平気平気」
何駅か進み乗客が減った所でカノンが停車ボタンを押す。
路面バスが近くの停留所に向け速度を落としていく。
「今日はありがとう。良い物が観れて、本当に楽しかったよ」
「明日の午前は一緒のバイトだよね。どこで合流する?」
「それならこの間の商業区のところでお願い。猫の所」
停車し、開いたドアからカノンが降りていく。
「さようなら。明日のボクによろしくね」
ドアが閉まり路面バスが動き出す。
視界の向こう、ツェルニの街中へ消えていくカノンの背中をレイフォンは見送る。
バスの車窓から街並みを眺めていると色々な物が見えてくる。
一週間前に比べ増えた人の行き来、開いている多くの店、街壁にある落書き、私服と制服の混在。
大分、汚染獣戦の前に戻ってきているのが景観に現れている。
「前から続いてる窃盗って――」「休講終わるの嫌――」「知人の都市警が宿泊――」「可愛い子が入った喫茶店が――」
黙して外を見ていれば自然と周囲の話し声も聞こえてくる。
近くの男子生徒二人の会話がレイフォンの耳に届く。
「――そういや十三小隊さ、一人少なかったよな」
「狙撃手の五年だろ。俺の友人がその知人らしいが、意識戻ってなくてベッドの上だと」
「マジか。何でそれで他の連中試合に出てんだよ。勝ち星か?」
「単に人数足りてるからだろうな。寧ろ生徒会側が問題だろ。色々言われて小隊側は不憫にも思えてくる」
「小隊側は誇りとか矜持ってやつかね。今回ばかりは苦労してるわ」
一人足りないと思った疑問が当たっていたことをレイフォンは知る。
後方支援が足りず不利だと自明で、仲間が意識不明でも、それを受け入れ試合は行われた。
こうし
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