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鋼殻のレギオス IFの物語
第二章 【Nameless Immortal】
肆 裏/表の接合点
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ら叩かれる。 
 そのため来訪者用の対応が急遽変更された。
 再度の身分証や目的確認、顔写真の更新の必須化、etc.
 全うに制度を変えると多少時間がかかる為「情報強盗発生による緊急的な対策」という名目にして承認は後回しで少しずつだが既に行動が行われている。

「こういった確認作業は下の仕事ではないのかい?」
「実作業は現場の生徒にやらせています。一通り終わってますが、自前の放浪バスで来た者もいた様で、荷物の再検査があと少しというところです」
「そうか。人や物で何か出たりしたかい?」
「現状、報告は有りません。といっても現状疑惑が無い相手ですので、審査や検査の程度は前より少し厳しい程度ですがね」
「急な厳格化は無理さ。それでも問題が無いのは何よりだよ」
「はい。ああそれと、前に言っていた調査の件、もう少しで何らかの報告は出来るかと」

 カリアンは小さく頷く。余っているエナドリを開けつつ書類へ目を戻す。
 実際のところ、こうして書類を見た所で大した意味など無い。
 名や所属で想像を膨らませ、知っている都市名があれば思い出を想起する。その程度だ。
 息抜きのつもりで適当に上から下へカリアンは視線を動かしていく。

(思ったより意外と人数が――――)

 その視線が、途中で止まる。
 記されているのは一人の男だ。数日前から滞在しており、再検査にも協力的だったと記されている。
 だがカリアンはその男の名と写真から視線を動かさない。
 その男の名が、昔見た、記憶の片隅にある名前に引っかかったからだ。
 
 カリアンの様子に気付いたヴァンゼが振り返る。
 ヴァンゼが書類を覗き込み、その男の欄を見る。

「グラン・フーフォリア・ノーブル? 何か気になる点でもあったか?」
「いや……」

 カリアンは言葉を濁す。あくまで気になる程度で確信はないのだ。
 何せ引っ掛かりの根拠は六年前に見た資料だ。
 そこに記されていた(あざな)が記憶に残っていたからに過ぎない。

(確かこの字のはず。面影は恐らく、ある……)

 当然だが、記憶に残る姿よりも老けているようにカリアンは思う。
 本来ならばどうでも良い事と脇に流すのが妥当だろう。人間違いの可能性もある。
 だがもし、記憶通りの存在であった可能性を想えば、流すなど出来る筈がない。

「……ヴァンゼ、第一小隊の隊員は動けるかい?」
「午後から訓練をする予定だ」
「つまり動かせないわけでは無いと」
「性格同様お前の認識は歪んでいるな。まあいい、何をさせるつもりだ」
「この彼を監視して欲しい」

 件の男をカリアンは指差す。
 ヴァンゼがやや険しい顔つきになる。

「監視とはまた……何らかの危険性でもあるのか?」
「可能性の段階だよ。
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