第二章 【Nameless Immortal】
肆 裏/表の接合点
[後書き]
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成績の凋落が目に見えるにつれ、父は荒れて行った。
後遺症により加齢の影響も多く出た。剄の生成量が落ち、剄を上手く練れず、武芸者としての質が明確に落ちた。
現実を受け入れず固執する父に対し、周囲からの評価は憐憫から嘲笑に近い物へと変わった。
武芸者としての在り方が誇りでもあった父にはそれが耐えられぬものだった。
小さな口喧嘩が言い争いに発展し、長引くことが多くなった。
私は狼狽えるばかりで彼らに対し何も出来なかった。
父は私に対し、武芸者として衰えへの嘆きを吐き母への不満を言った。
母は私に対し、現環境による心の痛みを告げ父への恨み言を吐いた。
二人に私を味方につけようとしていた。私はただ頷くばかりで、何も出来なかった。
ある日、言い争いが発展し、初めて父が母に手を上げた。
赤くなった頬を抑えながら、母は私に大丈夫だからと告げた。
父が謝った事もあり、母としても一時の事だと流したのだろう。
ただ私には、気弱な母には酷く響いていたのが分かった。
だがほどなくして二度目の拳が振り上げられた。
武芸者としての父の矜持を知っていた私は、母に対し慰めの言葉と共に、父の苦しさへの理解も告げた。
その次の日、気付けば母の姿は荷物と共に家から消えていた。
父の荒れ具合は一層のこと進み、その時から私が家事を担当する事となった。
同時に父からの暴言を受けるのも、私の役割となった。
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