第三十五話 欧州の美その十
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「問題外だな」
「ええ、とにかく欧州じゃ長い間陶器はなくて」
「アジアから輸入して」
「芸術品として持て囃されたの」
日本や中国から輸入してだ。
「実際中国の主要な輸出品だったし」
「絹とかお茶と一緒に」
「そう、陶器もね」
「それで日本もか」
「漆器とね」
陶器もであったのだ。
「あちらの貴族の人達の間で大人気だったの」
「それでここでもか」
「展示されてるわ、それから欧州でも陶器を造られる様になったの」
「ああ、あのゴイセンとかか」
「そうよ」
微笑んでだ、優花は答えた。
「ああいうブランドがね」
「出来たのか」
「確かコーナーじゃそういうことも勉強出来るから」
「そうか、じゃあな」
「次はそこに行きましょう」
「そうしような」
二人で笑顔で話してだ、そしてだった。
優花と龍馬は魚料理もメインディッシュの鴨料理も楽しんだ、そしてパンも食べて最後はデザートも美味しく味わった。
ワインも飲み終えて二人でだった、レストランを後にして。
優花が言う陶器のコーナーに入った、そして。
その陶器達、部屋自体がそうなっている様な場所にも入ってだった。龍馬は白地に青や赤で彩られた中にいてこうしたことを言った。
「中国のな」
「その世界よね」
「この部屋はな」
「異国情緒っていうか」
「当時のあっちの貴族の人達のか」
「趣味が出ているわね」
「アジア趣味か?」
龍馬は当時の中国人も陶器の中にいるのを見た、辮髪の彼等は知っている者が見ればすぐに清代の者達とわかる。
「つまりは」
「ええ、日本にしても中国にしてもね」
「アジアか」
「遠く離れた異国のね」
「文化に魅せられたっていうんだな」
「そうなるわ」
優花は龍馬に微笑んで話した。
「実際こうした陶器は高かったそうよ」
「あっちでもか」
「そうみたいよ」
「まあそうだろうな」
「芸術品でもあったから」
「今も陶器って高いものは馬鹿高いからな」
今の日本においてもである。
「それこそ俺達じゃ絶対に買えないみたいな」
「茶器でもね」
「戦国時代の茶器なんてな」
その陶器もだ。
「国宝クラスとかな」
「あるでしょ」
「信長さんが持っていたみたいな」
言わずと知れた織田信長である、無類の茶器好きだったことでも知られている。
「そういうのはな」
「本当に値段がつけられないっていうか」
「そこまで高いわよ」
「高いってものじゃないな」
「それこそね」
「陶器も馬鹿に出来ないな」
「宝石と変わらないわね」
こうも言った優花だった。
「一口に陶器といっても」
「芸術品にもなるんだな」
「そうね、じゃあ今からね」
優花が龍馬の手を取る様にして声をかけた。
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