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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百二十九話 末裔
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が彼らをラープ達に紹介したのは同盟の政治家であろうこと、そして彼らとフェザーンの関係は彼らの末裔に継がれている可能性が高いこと、財界人の末裔は私が、政治家の末裔はトリューニヒトが調べたこと……。

「なるほど、トリューニヒト議長の仰る通りです。それで見つかったのでしょうか?」
「ああ、見つかったよ。グリーンヒル総参謀長」
皆の視線がトリューニヒトに集中する。その視線を浴びながら不機嫌そうにトリューニヒトは言葉を続けた。

「彼は自分の先祖がレオポルド・ラープに協力してフェザーンの成立に関与したことを認めた」
彼方此方で溜息が漏れた。
『では、地球が関与していることも認めたのですか?』

「いや、それは知らなかった。彼が認識していたのは地球出身の商人、レオポルド・ラープと自分の先祖が協力してフェザーンを創ったということだけだ」
つまり、ヴァレンシュタイン元帥の推論のうち半分は正しいと証明された。だが肝心の地球との関与ははっきりとしない。フェザーンの背後に地球がいるのか、地球は同盟と帝国の共倒れを狙っているのかは分からない……。

「彼は自慢していたよ……、自分の先祖が同盟の危機を救ったとね。先祖はそうかもしれんが本人はフェザーンの操り人形だ。愚かな……」
トリューニヒトが嫌悪も露わに言い捨てた。その口調に皆不審そうな表情を浮かべた。

「トリューニヒト、それは誰だ?」
ホアンが問いかけて来た。トリューニヒトは答えない、顔を顰め沈黙している。
「トリューニヒト? レベロ、君は知っているのか?」
「知っている」
「誰だ?」

私はトリューニヒトを見た。トリューニヒトが仕方が無いといった表情をした。
「ロイヤル・サンフォード前評議会議長だ」
「!」

トリューニヒトの言葉に声にならない声が応接室に溢れた。視線が彼方此方に飛ぶ。
「本当なのですか?」
「本当だ、ビュコック提督」

信じ難いといった口調のビュコック提督に対しトリューニヒトの言葉はそっけないほどに事務的な口調だ。彼の言葉は嘘ではない、私と共に確認したのだ。もっとも今では彼と会ったのはまるで毒を飲まされたようなものだと思っている。トリューニヒトも同じ思いなのだろう。

サンフォード家は代々政治家を輩出してきた家だ。そして前議長は凡庸と言われながらもどういうわけか議長にまでなった。おそらくはフェザーンの協力があったからだろう。だがトリューニヒトがサンフォードを疑ったわけは他にもある。

「イゼルローン要塞攻略直後のことだが、贈収賄事件が発覚した。当時の情報交通委員長が関与した事件で彼は辞任、後任にはコーネリア・ウィンザーが就任した」
コーネリア・ウィンザー……。その名前を私が口にすると皆が顔を顰めた。皆彼女が政権保持のために帝国領出兵に賛成
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