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落ちこぼれの成り上がり 〜劣等生の俺は、学園最強のスーパーヒーロー〜
番外編 生裁戦士セイントカイダーll
最終話 続いて行く、ヒーローの物語
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たために「もしかして舞帆先輩が〜」という噂話程度で収まっていたらしい。
路郎先輩はそもそも生徒会の人間ではなかったので、噂すら立たなかった(校長先生談)。
しかし、俺は違う。俺は変身を解く瞬間をバッチリ目撃されてしまったわけだ。それも、うちの生徒に。
案の定、その生徒を発信源に俺の素性が学園に知れ渡り、俺は事件の翌日から学園中の注目にさらされ、数多くの生徒(なぜか大半が女子)に追い回される日々を送る羽目になっていた。
下駄箱に謎の手紙を大量に仕込まれ(開封する前に絵麗乃に処分されたので内容は不明)、男子生徒に謂れのない殺意を向けられ(椅子で殴られかけたこともある)、しまいには絵麗乃に「私のことも構ってよ!」と頬をつねられるなど、トラブルが絶えない。
そんな俺を見兼ねた校長先生により、ほとぼりが冷めるまで別の高校に転校して静かに暮らすことになったのだ。
その間、セイントカイダーの任は俺の穴を埋めるために、Aランクのライセンスを取った会長が代行してくれている。
このためだけに、必死の思いで資格試験に臨んだ会長の苦労は計り知れない。ありがとうございます、会長……。
しかし、こんなことがあっても「生裁戦士セイントカイダー」が学園のヒーローとして存続していられるのは、やはり大きい。
俺の抱えていた問題を生徒会のみんなで共有するようになったから、一人が抜けても補える体制になっている。
校長先生がこうなることを想定していたのかは定かではないが、「ヒーロー」の責任を負う人間が俺一人のままだったら、今頃は生徒会が混乱に陥っていただろう。
人は決して丈夫ではない。簡単に崩れてしまうこともある。だから、支え合うことで真価が生まれる。
「人間」は、たった一人では「ヒーロー」になれない。だから、少しずつ寄り添い合って、そこに向かって近づいてみよう。
――たった一人では得られなかった何かが、きっとそこにあるから。
「さて! ため息ついたって仕方がないよな! ――まずは友達作らないと。会長に負けないよう、俺も踏ん張るか!」
宋響学園の校舎を見上げ、俺はやがて自分が通う高校へと駆け出していく。
「自分にできること」。それはまず、仲間を見つけていくことだから……。
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