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落ちこぼれの成り上がり 〜劣等生の俺は、学園最強のスーパーヒーロー〜
番外編 生裁戦士セイントカイダーll
最終話 続いて行く、ヒーローの物語
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人混みの中でこちらを微笑ましそうに見ている少年も気になった。
黒髪の端を赤く染め、黒いレザージャケットを着ていたその人は、目元が大路郎先輩にそっくりだったのだ。
やがて満足げにニッと笑って去って行ったのだが、一体誰だったのだろうか?
「勇亮君? どうかしたの?」
「ん、なんでも……」
「そう? じゃあ、みんなで写真撮ろうよっ! 私達が初めて『団結して活躍した』瞬間だもん!」
そう言って絵麗乃は俺の手を引き、カメラの前で俺達を待つ、会長と副会長の元へと駆け出していく。
――そうだ。俺は今まで、戦闘から事後処理まで全部一人でこなしてきた。警察やメディアの対応も、ヒーローとしてたった一人で。
その俺が今、初めて仲間に仕事を任せた。路郎先輩の言う、「できないこと」を代わりにやってもらったわけだ。
今回の事件、俺一人では戦闘はこなせても、事件後の対応までは身が持たなかっただろう。その結果、メディアの不興を買う事態を招いていたかもしれない。
絵麗乃達のおかげで、俺は「ヒーロー」としての一命を取り留めたのだ。
人間は、たった一人では「ヒーロー」になれない。大路郎先輩が言ってくれた通りだったんだ……。
「はい、チーズっ!」
ボンネットに突き刺さった生裁剣を背景に、俺達四人は自分達の姿を記録に残した。
この日……「ヒーロー」として、俺が輝いて行ける方法。その真理に、少しだけ近づけたような――そんな気がした。
……だからなのか。この時の写真に写っていた俺の顔が、今までにないくらいに明るく笑っていたのは。
これからはきっと――いや、絶対。俺は、一人じゃない。
生徒会のみんながこうして集まり、その中から生まれるヒーローこそ……この時代に生きる「セイントカイダー」の姿なのだから。
以来、俺は「生徒会の役員」として、また「ヒーロー」として、仲間達と協力して無理のないPR活動に貢献していく――
――はずだったのだが。
一ヶ月後の宋響学園。その校門の前を、俺はため息混じりに通り過ぎていた。
……宋響の生徒とは違う制服を着て。
実は、あの麻薬組織事件の顛末を目撃していたうちの生徒が、俺が変身を解く姿を見てしまっていたのだ。
セイントカイダーに変身する人間は、学園の生徒に正体を知られることを避けなければならない。無用な注目を浴びて、コンディションに支障をきたさないためだ。
そのため、「セイントカイダーは誰なのか」「どういう経緯で選ばれるのか」は生徒会の人間だけの秘密とされ、詮索することも公開することも校則で禁じられていた。
舞帆先輩の場合はほとんど学園公認に近い状態だったと聞くが、本人が違うと言い張っ
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