暁 〜小説投稿サイト〜
落ちこぼれの成り上がり 〜劣等生の俺は、学園最強のスーパーヒーロー〜
番外編 生裁戦士セイントカイダーll
第5話 立ち上がる三代目ヒーロー
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を持ち、紺色のスーツを着たガタイのいい男達。数は三十人程度か……。
 そして、彼らに囲まれた三人の男女。

 ――うちの制服を着ている以上、もはや頭を使う必要もない!

 俺はそのまま男の集団に向かってアクセルを踏み込み、こちらに気づいた連中を掻き回す!

「うおっ!? なんだこのガキ!」

「てめぇヒーローかっ!」

 突然の来客にあわてふためく彼ら。俺はその混乱に乗じて、セイサイラーを生徒三人を庇うように停める。

「栂……! 間に合ったか!」

「あぁ、よかったぁ……栂君、来てくれてぇ……!」

「ゆ、勇亮君ッ! あぁ、勇亮君……!」

 血に塗れた右腕を押さえる会長を、絵麗乃と副会長が支えている。
 どうやら、結局見つかってしまい、ここまで追い詰められていたらしい。

 普段は明るく元気な二人の美少女も、この時ばかりは不安を感じずにはいられなかったらしく、俺の到着に感極まった表情で涙した。

 すぐに一言声を掛けたいのは山々だが、今は敵側のパニックを利用したい。
 俺はサッとセイサイラーから飛び降りると、裏拳・回し蹴り・巴投げを続けざまに連中へお見舞いしていく。

「なっ――がふっ!?」

「このガキッ……ぎゃあ!」

 ナイフや釘バットを振りかぶる男達の攻撃をかわし、腹や顔面にパンチとキックを叩き込む。

 去年にセイントカイダーの後継者として検討されていた頃から、こういう訓練は欠かさなかった。おかげで、実戦経験が少ない俺でも十分に戦える。

 ――こんなことを考えている場合じゃないだろうが……ヒーローを目指してこの学園に入った俺にとっては、きっと今ほど充実した瞬間はないのだろう。

 子供の頃に憧れたヒーローになりたくて、俺はこの学園に来た。そして、セイントカイダーの存在を知り――強く惹かれたんだ。

 そんな俺の夢を受け入れてくれた、会長を初めとする生徒会のみんなには、感謝しても仕切れまい。
 ……だからこそ、彼らを傷つけた麻薬密売組織が、許せなかった。

 そして、彼らに立ち向かい、打ち勝つ力を――俺は今、持っている。

 もう、ヒーローになることだけが夢じゃないんだ。これからは……ヒーローとして、みんなを守る。かつて、自分自身が憧れた姿に近づくために!

 ――そして、「たった一人ではヒーローになれない」のなら……!

「絵麗乃ッ!」

「は、はいっ! なんでしょうか勇亮君!?」

「戦いは俺に任せてもらう! ――だからッ!」

「はいぃっ!」

「それからのこと――任せたよ」

「――え?」

 最後に出した声だけ、気がつけば落ち着いたものになっていた。
 新たな道が開けた――かもしれない、という可能性が現れたことから
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