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落ちこぼれの成り上がり 〜劣等生の俺は、学園最強のスーパーヒーロー〜
番外編 生裁戦士セイントカイダーll
第2話 謎の初代セイントカイダー
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柔らかい焦げ茶色のボブカットと、ぱっちりとした瞳が特徴の……まぁ、俗に言う「美少女」に分類される俺の友人だ。
彼女とは中学の頃からの付き合いで、その時はよく一緒に遊んでいたものだが――最近では、同じ生徒会に身を置いているというのに、言葉を交わす機会すらなかなか見つからなかった。
そんな彼女と、こうして向き合うのは、なんだか久しぶりのような気がした。
「どうした? 絵麗乃」
「えっと、その……」
話し掛けておきながら言葉に詰まる彼女の姿は、さながら小動物のようだった。
もともと、中学生と間違われるくらい幼い容姿を持っている絵麗乃だが、この時は百八十センチ以上ある俺の身長との対比もあってか、いつも以上に小柄に見えた。
「ね、ねぇ……勇亮君。疲れてない?」
「急にどうした?」
「え、ええとね、最近、なんだか勇亮君、無理してるって感じだし。最近じゃ、いつも頑張ってるところしか見たことないから……」
「――絵麗乃が心配するようなことなんて、ない」
俺はそれだけ言って、彼女から目を背ける。視界から彼女の姿が消える一瞬の中で、悲しげな顔が目に焼き付いたような……そんな気がした。
「ちょっ……だめよ栂君っ! 奥さんを心配させちゃあっ!」
「お、おおおお奥さんっ!? 副会長なにを言ってるんですかあぁぁぁっ!?」
「お前の気持ちに気づいていないのは栂だけ――か。山岡も大変だな」
後ろでなにか騒いでいるようだったが、詳しくは聞き取れなかったし、聞く気もなかった。
俺は俺のするべきことをするだけだ。
――休む暇など、あるものか。それで心配されるのなら……俺の努力不足だ。
体育館裏にある、セイントカイダーの地下秘密基地。一年前から、セイントカイダーの調整施設として使われはじめたばかりというだけあって、施設内の環境は概ね良好だ。
俺は校長室を去ってから、ここへ足を運んでいた。
有事に備えて、すぐにセイントカイダーとして出動できるように、パトロールを兼ねて城巌大学に向かうためだ。
「失礼します。寛毅さん、セイサイラーの整備は?」
「お? おぉ、万全だよ。万全だとも」
純白のサイドカー付きバイク――すなわちセイサイラーを見つけた俺は、施設の床をモップで掃除している、事務員の桜田寛毅さんに声を掛ける。
寛毅さんはここの掃除当番以外にも、セイサイラーのメンテナンスを務めている。
一年前まではこの学園の校長だったのだが、今では(俺も詳しくは知らない)諸事情で、ここで下働きに駆り出される身になっているという。
そして彼に代わり、この秘密基地で彼と同じことをしていた達城朝香が、校長として君臨しているわけだ。
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