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落ちこぼれの成り上がり 〜劣等生の俺は、学園最強のスーパーヒーロー〜
番外編 生裁戦士セイントカイダーll
第2話 謎の初代セイントカイダー
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来る。
「『無茶ばかりの夫を心配する妻』の気持ちとか、考えてみることね」
――何の話だ?
その後、校長室をあとにした俺の前には、見慣れた顔触れが並んでいた。
「みんな……」
生徒会長の辻木隼人先輩。副会長の地坂結衣先輩。
そして――会計を担当している、山岡絵麗乃。
俺は彼女にチラリと視線を移すが、向こうは気まずそうに目を逸らしてしまった。
「栂。校長先生となにか話してたのか?」
まず、辻木会長が訝しげに俺を問い詰める。
単独行動が多い俺のことで、少しばかり気が立っている様子だ。
「ええ。先代セイントカイダーの桜田舞帆先輩に会って、助言を聞いてくるように言われました」
「舞帆先輩に? そうか……」
だが、俺の返答に辻木会長は感慨深げな表情を見せ頷いていた。やはり彼にとっても、桜田舞帆先輩は尊敬するべき人なんだな。
「あっ! じゃあ、城巌大学に行くんだよね! 船越先輩、元気にしてるかなぁ〜っ!?」
「船……越?」
「フン! かつての学園きっての大問題児さ! セイントカイダーの主題歌で成功したのをいいことに、舞帆先輩と同じ大学に進学するとは、なんたる暴挙!」
地坂副会長は「船越先輩」という人物に想いを馳せているようだったが、辻木会長はあまりその人についてはよく思っていないらしい。
「まぁ、あのような不良のことはどうでもいい。それより栂。僕達はこれから、麻薬密売組織の取り締まりに向かう」
突然に切り出された、生徒会出動の知らせ。辻木会長の真剣な眼差しに、俺の表情も険しくなる。
「麻薬密売組織……最近、この辺りが物騒になっているという噂は聞いていましたが、そういうことだったんですか」
「ああ。基本的に逮捕するのは警察の仕事だが、ウチの生徒達に影響を与えかねない存在である以上、我が生徒会も動かなくてはなるまい」
「確かに専属ヒーローを擁しているからには、協力した方がPR効果は期待できますが……危険では?」
「なぁに。我々は組織の動きを追跡して、警察が来るまで連中をマークしておくだけだ。セイントカイダーの力を借りる必要もない。学ぶべきことがあるなら、お前は城巌大学に向かうといい」
そう言って、辻木会長は余裕の笑みを浮かべて俺の肩を叩く。
必要ない、と露骨に言われるのは気分のいいものじゃないが、教養を優先させてくれるのはありがたい。
「わかりました。では、これで失礼します」
会長に背中を押されたことだし、学園を出るとしよう。
そう思って、その場を後にする――はずだったのだが。
「あのっ……待って! 勇亮君!」
ふと、それまで一言も喋らなかった絵麗乃が、この場で初めて口を開いた。
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