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落ちこぼれの成り上がり 〜劣等生の俺は、学園最強のスーパーヒーロー〜
番外編 狩谷鋭美の恋路
後編 ヒーローとヴィランのコンビ
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、自ら口にしてしまった。
よくわかったわ。一番船越に迷惑掛けてる女は――アタシだってことが。
でも、船越はなぜか、違うことを口にした。
「そんなこと、あるわけないだろ」
「……えっ?」
涼しい顔で、それでいて「間違いない」と断じているような「自信」を感じさせる雰囲気を放ちながら、船越はハッキリとそう言い切った。
驚いて振り返るアタシの表情はおそらく、諦めかけていたはずの慈悲を求めているような自分の心境が現れていたのだろう。
船越はアタシの顔を見て、「そんな悲しそうな顔するなよ」と優しげに微笑んでいる。
「いろいろと背伸びして、頑張ってて、泣くこともある。そんなお前は、すごく可愛かった」
「か、かわいい……!? アタシが、本当に……!?」
その言葉で、アタシは病院の時に感じていた喜びを思い出していた。あの時も船越は、アタシを「可愛い」って言ってくれた。
アタシが囚人になった今でも、「可愛い」って……!
「お前は誰も殺しちゃいないんだ。だから、いくらでもやり直せる。俺、それまで待ってるから! だから、いつか一緒にヒーローになれるように――」
そこで一度言葉を切り、船越はアタシに最後の言葉を掛けてくれた。
「今日の笑顔を、枯らさないでくれ」
「……うん……!」
もう、アタシはそれしか言えなかった。ちゃんと、「またね」も言えずに、ただ微笑みながら泣くばかりで。
いいよね? アイツの前でだけなら、どれだけ泣いたって。どれだけ、甘えたって。
アタシ、笑顔でいるから。アタシと、アイツのために、笑顔でいたいから……。
そして、アタシはやり取りをしばらく見守っていた刑務官の車に乗せられ、刑務所に送り返されることになった。
やがて冷たい牢屋の鉄格子に戻されると、向かいの牢屋に入れられている所沢に声を掛けられた。
「狩谷、またあのチビに会ってきたのか?」
「ああ。楽しかったよ。本当に……楽しかった」
「お前も物好きなもんだ。根性は認めるが、そこまで入れ込む価値があんのかよ」
「アンタよりは遥かにあるわよ。で、あの変態野郎は大人しくしてた?」
アタシの問いに、所沢はちょいちょいとアタシの囚人用ベッドの方を指差した。
首を傾げてベッドの下を覗き込むと、そこには二十代後半くらいの、いけ好かない囚人野郎が縛り付けられて転がっていた。
「お前の言う通り見張ってたらよ。案の定、他の女囚にちょっかいかけようとしてたんだぜ、そいつ。目障りだったんで、お前が料理しやすいように、警備員がいない間にそこへぶち込ませてもらった」
「……でかしたわ、所沢。全く、次から次へと女に手ぇ出しやがって! 女を何だと思ってんのよ
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